灰崎VS鬼道

「今日 付き合ってくれないか」

「鬼道さん...!」

「どうした、そんなに驚いて」



試合終わり、少々疲れてしまった身体を癒すため彼女を誘い街中にある喫茶店へ誘おうと思い 声をかけたら顔を引き攣らせて目を大きく開けて心底驚いた顔を見せる。



「あの、鬼道さん...」

「どうした」

「私にお声を...かけたんですよね、?」

「お前か 灰崎しかいないだろう」



星章学園サッカー部の唯一のマネージャーである彼女は、いつもせっせと無駄口を叩かずに働いては 部員達が帰ったのを確認してから帰る とても気の利いた好感の持てる女生徒で 俺にとって気になる存在だ。

灰崎をちらりと見れば彼女と俺の話に耳を済ませているのか、じっと グラウンドを睨みつける振りをして静かに座っている。



「どうした、先約でもあるのか?」

「いえっ...ないんですけど、その、私なんかとお喋りしても楽しくないと思って...」

「話をした事がないから知りたいと思うのは、ダメか?」



俺の目を見つめ返す瞳の色が 光を浴びて変わった、かぁっと赤みの差す頬を自分の手の甲でおさえて 「しりたいです、」と小さい声が聞こえた...次の瞬間 俺の視界が灰色になる。



「オイ、俺も行く」

「どうした 灰崎、そんなに焦った顔をして」

「...別に焦ってねえよ」



顔を近付けてボソリと「オイ、アイツは俺が先に狙ってた」なんてことを俺に言う灰崎、なんだ...可愛いところもあるじゃないかと口角を上げ「早い者勝ちだろう?」と言えば 灰崎はチッと舌打ちをして俺から顔を離す。



「着替えてくるから待っていてくれ」

「は、はい...!」

「ほら 行くぞ灰崎」

「うるせーよ」

「...ふふ、お2人共実は仲良いんですね」


「そうだ」「ちげーよ」



まるで ネズミとネコのアニメーションのようじゃないか、顔を見合わせた俺等を見て 彼女は初めて楽しそうに笑った。



「笑った顔いいじゃないか」

「えっ やめてくださいよ、からかわないでください...」

「からかってない 本心だ」

「鬼道さん...」



またまた 赤くなる彼女の頬は姫リンゴのようだ、可愛らしさに胸をときめかす。



「照れるな、着替えてくる」



どうだ 俺が1ポイント獲得だ
そういう意味を込めて、ちらりと横目で灰崎を見れば 眉間に皺を寄せれるだけ寄せて 俺を睨みつけた。



「次は俺だからな」
「どうかな」




20180511