もぐもぐ 何枚目のお肉が彼のキレイな歯に咀嚼されたのだろうか、たまに烏龍茶を挟むだけで野菜には目もくれず私が焼いた肉をひたすら口に投げ入れていく。
「修也、いっぱい食べるね」
私の言葉にゆっくりと目線をこちらに向けて、ハッとした表情を...箸を置いて私の持っているトングを取ると タレが絡んで美味しそうなロースを焼き始めた。
「すまない、俺ばかり食べていた...焼いてばかりでお前食べていないだろう」
「ううん ちゃんと食べてるから 大丈夫だよ、私が焼くよ 今日は修也の誕生日なんだから無心でお肉食べてていいよ」
「......すまない、」
照れ臭そうにトングを私の手の中に戻すと、取り皿に残っていたお肉を2枚 箸で挟んで口の中にいれた。
ほんのりと口元が緩んで 肉汁で光る唇を彼は手元のおしぼりでグイッと男らしく拭った、烏龍茶に口をつけて 喉を潤した彼は私に向かって「ありがとう」なんて笑った。
「そういう顔ずるいなー」
「何がだ?」
「はぁ、もう...ほらロース焼けたよ」
「お前が焼いてくれる肉が一番美味い」
子供っぽい笑みを浮かべて彼はロースをタレに沈ませるように絡めて、ガブリと一口。
「おかわり頼もっか」
こくんと頷く彼の髪が揺れた、サッカーをしてない時はおろしてる髪がさらさらと綺麗で なんだか急に触れたくなったけどぐっと堪えて 呼出ボタンを押した。
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「本当にイイのか?」
「誕生日なんだから黙って奢られてよー」
「そうか、それなら...御馳走様」
財布から取り出された紙幣に罪悪感を抱きつつも、年に一度こうやって誕生日の時彼女が気前よくご馳走してくれるのを見るのは好きで 感謝の意を込めて腰を抱いて頬にキスをすれば「もー 外なのに!」と困ったように笑った。
ヒールを鳴らしながら俺の手を取り歩く彼女の親指を撫でた、彼女も俺の親指を押し返すように強く撫でる まるでキスでもしてるみたいに。
「修也家に行っても大丈夫?」
「当たり前だろう」
「良かった」
「お前からのプレゼントと、プレゼントのお前を楽しまないといけないからな」
「...ばか」
コツと綺麗な足音を鳴らし立ち止まった彼女、俺は彼女の首と顎を人差し指で撫でて キスをした。
先程まで食していた焼肉の独特の後味が二人とも口内に残っている、それがいやに官能的で お互いに薄らと唇を開けて舌を入れた。
「にんにくと肉が同時にくる」
「生きてるって感じがするな、こっちの方が いやらしくないか?」
「さっきまで少年みたいだったのに...急に男になんないでよ」
そんな事を言いながら笑う彼女ともう一度舌を絡めた、曇った声で聞こえた「おめでとう」の言葉に俺は目を細めて 外だというのに彼女にキスを繰り返した。
20180530 (豪炎寺24と誕生日の焼肉デート)