隠れマッチョな

「では、私は忙しいので しっかり万作君に特訓させてくださいね 貴女のお仕事なので」



ピコピコとゲームをしながら出ていく金雲監督にはぁと小さくため息を吐いて、ひらひらと手を振った。



「はーい ちゃんと見張ってますー」



バタン!と扉が閉じて 風船のような可愛らしい身体をした金雲監督は出ていった、くるりと私の背後に立っている万作君の方を向けばぴくっと彼の肩がはねた。



「さて、特訓しますか」

「...体力つけるための特訓か ハードだろうな」

「一番足の速い万作君がスタミナまでつけちゃえば、怖いものなしだからね 頑張ろう」



嫌そうな万作君の腕を掴んでみた、しっかりと鍛えられた腕は しっとりと汗をかいていて触れたそこから熱が伝わってくる。



「...結構筋肉あるんだ」



私は何を言ってるのだろうか、彼は 照れくさそうに笑って「筋トレしてたら勝手につくから」なんて言った。



「かっこいいじゃん」

「...そうか、?」

「二の腕も触っていい?」


「え」



筋肉ってなんでこんなに惹かれてしまうんだろう、万作君の驚いた声を無視して 滑らすようにして二の腕を強めに掴んでみた。

反射する様にぐっと力がはいって 力こぶが出来た二の腕に触れ、私は楽しくなってきてニヤついてしまった。










彼女はもう5分くらい俺の腕や腹筋を触っている...からかわれているのだろうか、帽子のつばに時々触れて恥ずかしさを誤魔化すが 彼女の冷たい手がだんだんと温かくなっていく じんわりと汗ばんだ手が腹筋を撫でてくる。



「いつまで 触ってるつもりだ...?」

「私の気が済むまで」

「...もうダメだ、!」



グイッと彼女の肩を掴んで止めさせると不満そうに頬を膨らませて俺を見た。



「もっと触りたいのに」

「特訓しないと だろ」

「...じゃあ、特訓してからなら触らせてくれるの?」

「はぁ...?」

「特訓したあとの方が筋肉張ってるし触り心地も良さそう、そうしよう ほら行った行った!」



俺よりも背の低い彼女は力いっぱいに俺の背中を押して、扉の向こうに押し込んだ。



「...触るのはもうダメだ、!!」

「ケチ!」

「触られたせいで、俺がお前に触れたくなったら責任とらせるぞ...」



扉は閉められたので彼女の声は聞こえないが、暫く考えたあとに言葉の意味を理解したのか ハッと顔を赤らめて彼女は眉を垂らした。



20180622