「オイ 兄貴、邪魔すんなよ」
「士郎 僕がいない間に抜け駆けなんてよくないなぁ」
「兄貴だって昨日俺がいねー間に コイツに触ってただろ」
「あれ?見られてたんだ」
ジリジリ 部室のベンチに座っていた私は吹雪兄弟に端に追いやられた、手に持っていたなえちゃんから貰ったお饅頭か落ちてぴょんぴょんと二回跳ねた。
「あっ、落としちゃったー」
「アツヤのせいだよ」
「兄貴が急に割って入ってくっからだろー」
「喧嘩しないで...」
二人して私なんかの何がいいのか...。はたまた、からかわれているのか いつも私を奪い合うように喧嘩をする。そんな二人に取り合われている感覚は嬉しいのだけど 恥ずかしくて、二人から距離をとるために立ち上がって一歩離れてみた。
「どこ行く気だい?」
「いや、二人とも...喧嘩するなら私練習行こうかなって」
「ダメだよ 今日こそ選んで」
「そんな事言ってもいいのかよ兄貴 コイツが俺を選んでも恨みっこなしだぜ」
「僕のセリフなんだけど」
相変わらず薄暗い部室には私とこの二人だけで、ドアまでは結構距離が...。私が走ったところで二人に捕まってしまうのは目に見えている、どうしたものかとグルグル考えていたらグイッと士郎さんに腕を引っ張られた。
「ねえ、僕がいいだろ?」
「いやっ あの、士郎さん...離して」
「ダーメ 相変わらず柔らかいな」
「ちょっ!!どこ触って...!」
「オイ 兄貴やめろよ嫌がってんだろうが、こっち来いよ」
まるで ひとつの玩具を取り合ってるように、彼等は私を引っ張る。どさくさに紛れて 腰やお腹を触られて 驚いて高い声をあげれば、士郎さんはにやりと笑って「そんな声出しちゃうんだ」なんて...。
「も、もう ダメですよ 練習行きましょ」
「染岡君がちゃんと指揮出してくれてるし まだ大丈夫」
「クソ 兄貴ばっかりズルいって ソイツ俺にも貸せよ」
物じゃないんだから!と叫んだと同時にドアがバーンと音をたてて開いた、ビックリして3人ともドアの方を向くと 目をこれでもかとつり上げた染岡さんが立ってた。
「いい度胸してんじゃねーか 練習サボって何してんだ、お前達」
「ち、違うんです 染岡さん 助けてー!!」
「チッ」
「アツヤお前 今舌打ちしただろ」
「してませーん」
「士郎、キャプテンだろ早く来い!」
「...はぁ」
「お前!今溜息吐いたな!」
「吐いてないよ」
ニコニコ うんざりするくらいわざとらしいその表情にワナワナと怒った染岡さんが二人に カミナリを落とす前に私はダッシュでグラウンドに向う事にした。
「逃げられちゃった 次の試合で活躍した方が彼女をゲット出来るって事でどうだい?」
「...ヘッ、兄貴泣くんじゃねーぞ」
「お前等 俺の話聞いてないだろ」
少ししてから 不機嫌そうなアツヤ君と士郎さん、その後ろから晴れ晴れとした顔の染岡さんがグラウンドに現れた。
20180720
吹雪兄弟が一緒にプレイしてる姿に感動してしまいました。