野坂悠馬

「人を好きになる気持ちは素敵だね」



私の告白の言葉に彼はなんとも言えない言葉で返してきた、一生懸命頭で考えてもその意味はわからなかった。



「野坂くん」

「俺のことを好きだと言ってくれる女の子達はみんな同じ顔なんだ、輪郭も瞳も可愛らしくてキラキラしていて 俺以外に向けた方が幸せになれるのに」

「そんなこと、」

「気を悪くしたならごめんね、俺は恋愛なんて出来ないと思う」



君はとても可愛いし優しいと思うよ。

そう続けた彼の瞳はいつも通りの色味で、私が見ていたのは幻想だったのかななんて 膝が笑った。











もう何度目か覚えていない告白。

相手の人間の何もかもを知らないのに好きになれる才能が羨ましく感じる、どうして 彼女達はこんな俺を好きになれるのだろう。



「野坂君 本当に、好きなの...」

「そうなんだ」



淡々と答えれば彼女は悲しそうに指を震わせる、可哀想に そんな感情しか出てこない自分の心臓はあまりにも冷え切っているのか。

自分と10何年と寄り添ってきたはずなのに、自分のことが何も分からない。そんな俺の事を分かった顔して好きになってくれた彼女に「好きになってくれてありがとう」と伝えれば、大粒の涙が零れ落ちた。

幻みたいに綺麗な朝露もこんな風なんだろうな。



「野坂君を幸せにしたかった」



俺を幸せにできるのは俺だろう。

口から出そうになったその言葉をぐっと飲み込んでみせた、真剣な顔で涙する彼女をどうすればいいか分からなくて俺は1歩だけ彼女に歩み寄った。



「ごめんね、ありがとう」

「謝らないでいいよ」

「そんな顔で言われてもね」



手を差し伸べる方が残酷だ、そうやって誰かが言ってた気がする。彼女に触れるわけでもなく静かにいつも通り涙をぼーっと見つめる。


だけれど 今日はなんでか、目の前の彼女の涙をどうしても止めてあげたかった。止めた所できっと俺は、永遠の意味が分かるまで恋をしないんだろう。

彼女は俺を忘れて喜びと救いに満ちた愛を手に入れたらいい。




20190310(永遠の意味)