スクリュードライバー
友人と3泊4日で北海道へ旅行することになり私はキャリーバッグにせっせと荷物を詰める、防寒はしっかりしないとだよね…マフラー、セーター三着、手袋、80デニールのタイツ三足…後はホテルのバーに行くからカクテルドレスと新品の真新しいパンプスを入れた。
他になんかあったかな。
▽
北海道に着いてホテルにチェックイン、荷物を置いて窓から見える雪景色にうっとりと目を細めた。
綺麗な白 こんなの初めて。
「ほら、◎!はよいくでー!」
リカの元気な声にはーい!と返事をして部屋を出た、観光ならいい奴知っとんねんまかしときぃ!なんていつもの笑顔できゃぴきゃぴするリカの後ろを歩く。塔子ちゃんは少ししてから行くと言っていたので置いて行くことに。
「あっ、おったおったー!!!吹雪ーー!!」
「浦部さん相変わらず元気そうだね、その子が◎ちゃん?」
「そうやでぇー!ほらアンタ挨拶!!」
お母さんみたいにビシバシと私の背中を叩くリカ、痛い痛い!
「◎です、宜しく」
「宜しく、吹雪士郎です」
にこり まるで王子様だ…って何考えてるの私!そんな私を見たリカはにやぁっと笑い 私の背中を押す、バランスを崩した私は吹雪君にぶつかって 支えるようにして私の体をキャッチする吹雪君。
「この子今彼氏おらへんから好きにしーや!ほな、吹雪頼むわな〜!!!」
語尾にハートが沢山出ているリカ...。ちょっと待って置いてかないで!!こんなイケメンと居たら私喋れなくなるから!なんて叫べない私はスキップするリカの後ろ姿に手を伸ばした。
「任しといて、また後でね浦部さん」
「ほなさいなら〜!」
うまいことやるんやでぇとヒラヒラ手を振り去っていくリカ、恨むからね...!!
▽
吹雪君と一緒に色々な観光地に向かう事に。どこも綺麗な景色で見惚れていると吹雪君が行きつけのお店に連れていきたいと言い出したので連れて行ってもらうことになった。
店内には私たち以外にもお客さんが居た。飲める方?けっこう飲めるよ。そっかなら僕と同じのでいいかな?何飲むの?スクリュードライバーだよ。いいね、一緒のでいいよ。なんて 会話をしながら吹雪君は私の身体にグッと自分の身体を近付けてきた。
恥ずかしさに負けたくなかった私は、運ばれてきたスクリュードライバーをグイーっと飲んだ。
「美味しそうに飲むね」
「こ、こういうとこのお酒って本当においしいよね」
「あはは 確かにね、ここが一番お気に入りなんだ」
この前失恋してやっと立ち直ったところにこんなかっこいい人と会わせてリカったら何考えてんのよ...ムカついても仕方ない。だけど24歳そろそろ周りから結婚はいつだ?なんて聞かれたりもする歳になってきた。
「◎ちゃんって凄くかわいいよね」
「え、あっ...ありがと」
「ふふっ 照れてるの?」
女たらしなスマイルで私に顔を近付ける吹雪君に、ドキッとしてしまう...!一歩離れてしまった。
「なんで逃げるの?」
「お、女たらし臭が…」
「失礼だなぁー」
楽しそうに笑って、スクリュードライバーを一口飲む吹雪君。その横顔は本当にかっこよくて目眩がしそうだ。
「ねぇ スクリュードライバーのカクテル言葉教えてあげようか」
「カクテル言葉...?」
「貴方に心を奪われた」
「...え??」
上がる体温に私は今どんなマヌケな顔で吹雪君を見てるのだろうか...。
「か、からかわないでよ」
「本気だよ」
「う、うそ」
「期間限定でもいいんじゃない?試してみなよ」
空になったグラスの中、氷が溶けてカランと音がした。
20131221
⇒修正 20180418