コペンハーゲン

イナズマジャパンの優勝から、もう5年以上経った。二十歳の記念に久遠監督にバーに連れて来てもらった、お酒の匂いと煙草の匂いが混ざりオトナの世界という印象のココは 初めてが一杯で楽しくて不安で...。

カウンターの一番端に座ると「どんなのが飲みたい?」と聞かれた、メニューを広げる...居酒屋でバイトしていたから味は知らないが女性向けのお酒の名前は少しだけ知っていた。

いい匂いがするリキュールを思い出して「カルアミルクがいいです」なんて言えば、久遠監督は 鼻で笑った。


「何なんですか監督ったら!」

「いや 可愛いものを頼むなと思ってな」

「むー馬鹿にしてるでしょ!」



してないよ、なんて言いながらまだ笑ってる。お酒に強くなって見返してやるんだから!監督はというと柑橘系の香りがするオレンジ色の透き通ったカクテルを頼んでいた。



「飲むか」

「い、頂きます」









甘い、美味しい、酔わない。

何杯目だろう、酔っぱらって頭がフワフワしちゃって...久遠監督にどさっと倒れこんだ。酔っ払うってこんな感じなんだな。



「〇?」

「おやおや 飲みすぎたみたいだね」

「まったく」

「カルアミルクは調子に乗って飲んじゃうからねぇ、そうやってお酒に強くなっていくんだよ」



ははは というバーテンダーさんの優しい笑い声が子守歌に聴こえてきて、私はうつらうつら 久遠監督の肩におでこを押し付けた。

財布を取り出し清算をする久遠監督が見える。あ、待って出しますと言ってるつもりも声が出ない。私を持ち上げて、お、お、お姫様抱っこなんて…なんて!



「またよろしく」



気を付けてね、バーテンダーのやさしそうなおじさん。ばいばいと手を振るがグワンと世界は回っていて、気が付けばそこはもう外だった。



「タクシーで送る」

「…帰りたくないです」

「駄目だ」

「久遠監督…もう私大人ですよ」

「…駄目だ」



きつく言われてびくっと身体が震えるが、私は噛み付いた。



「いやです!」

「嫌じゃない」



タクシーに乗り込み家に連れて行かれる、私の家に着いて 鞄から取り出した鍵を渡せば「開けるぞ」と一言。ベッドがある部屋まで千鳥足で向かうと私は帰ろうとする久遠監督の腕を掴んで 「帰らないで」 と呟いた。









「帰らないといけないんだ」



できるだけ優しく、傷つかないように考えながら言うが腕を放してくれない。じっと俺の目を見つめて何かを訴えてる〇に心を奪われそうになる...平常心を保て。



「久遠監督」

「…〇」



呑みこまれてしまいそうだった、いつからこんな目で見てしまうようになったのか 自分の娘と同い年のこの子を。



「すき」



〇の綺麗な唇が動いたと思えば、スグにすーすー寝息を立て寝てしまった。頭を撫でてリビングのソファーに寝転ぶと 彼女の匂いが...清潔な香り、いつの間に大人になったんだろうな。



「俺だって好きだ」



カクテルの味が残る口内で 俺の言葉は溶けた。





コペンハーゲン

秘密の愛








20131221
⇒20180506 修正

冬花ちゃんへの罪悪感、歳の差で悩みに悩みまくってほしいです。だけど冬花ちゃんはそんなの海の広さに比べりゃうんたらって言ってくれそうですよね。