エイリア学園を倒してスグのこと、リカちゃんに呼ばれて 皆で大阪に来た。大阪の人特有の賑やかな話し声に耳を澄ました どこか懐かしさを感じる関西弁は耳障りが良くて 楽しくなっちゃう。
「17時になるまで自由行動よ、あなた達 迷子にならないようにね」
引率の先生みたいに夏未ちゃんは少し大きな声で私達に言って聞かせる、得意気にふふんと笑うと夏未ちゃんはマネージャー陣とどこかへ行ってしまった。
私はというと...「リカとの待ち合わせまで時間があるから、付き合ってくれない?」なんて一之瀬君に言われて一緒に 動物園と水族館と美術館が合体した所を回ることになった。私は一之瀬君が転校してきた頃から好きだった、なのに 今じゃリカに取られてしまってる。付き合ってるかは分からないけど...。そんな彼等のデート前に私は時間潰しで使われることになった。
あーあ 断る勇気が欲しい。
「えっ!一之瀬君 私チケット自分の払うよ...」
「付き合ってもらうのにそんなの出来ないよ、ハイ チケット」
「ありがとう...」
「こちらこそ」
チンアナゴの写真が載せられたチケットを受け取り中に入った、中に入ると水族館の様になっていて 神秘的だった。
外は芝生やフードコートや観覧車に囲まれていて落ち着かなかったけど、この中は 全然違った。静かで 優雅で 落ち着いた。
「なんだか 不思議な感じだね、ここ」
「すごく人気らしいよ 一度来てみたかったんだ」
水の音がふわんふわんと耳を通り過ぎる、色を感じれるような音になんだかこしょばくなってしまい 一之瀬君を追い越して進んだ。
椎茸みたいなくらげを二人で見つけて笑ったり、大きいけど狭い水槽の中に押し込められるようにして展示されている鮫や大きな魚の餌やりを眺めた。
「なんか、水族館みたいだね」
「奥に進むと 色々いるみたいだよ、ワニとか」
「ワニ!?」
「そう、ワニ 後トラもいるって」
「...すごいね、ここ」
奥に進めば進む程に珍しい動物達が出てくる、ちょうどワニの餌やりの時間だったようで 大きくカットされた肉がビチャンと大きな音を立てて投げ込まれた それに食らいつくワニに一之瀬君は目を輝かせて「おおー!」と少し大きな声を出した。
パシャパシャと写真を何枚か撮って、後ろにいたホワイトタイガーの怠けている姿を見て「野生を失ってるね」なんて楽しそうに笑う一之瀬君の姿。
肩がぽんと触れた
急に私達は二人でこんな所でデートみたいなことしてて恥ずかしくなってきた、私 この前にたこ焼き食べちゃったけど臭くないかな...!一之瀬君は相変わらず きょろきょろと周りにいる動物達に心も目も奪われているようだ。
「次は暗いとこだね」
「天井きらきらしてる、綺麗...っきゃ」
「危ない、よ」
踵が少し高いパンプスのせいでぐにゃっと転びそうになった所、一之瀬君が私の肘を掴んで引き上げてくれた。触れられたところから 全身に熱が回るのが分かる。
「ご、ごめん...ありがとう」
「暗いから危ないし手を繋いどこう」
「えっ」
「ほら ◎見てごらんよ、小さなエイ」
エイなんかよりも一之瀬君だよ...。可愛いなぁなんてまたまた無邪気に笑う一之瀬君、しっかりと手を握られたまま しばらくその水槽前から動かなかった。
▼
◎の手は時間が経つにつれて汗ばんでいく、時計をちらりと見れば後20分すればリカが待ってる場所まで行かないといけない。
先に約束してしまったリカの誘いを蔑ろにするわけにはいかないので、◎とギリギリまで一緒にいる為に誘った。
暗くて綺麗なココは ◎と近付くためにわざわざ選んだ、暗い場所で揺れる魚や水槽を見ているとフラフラしてくるのを利用した。
「◎、かわいいね」
「うん...赤ちゃんなのかな」
君が可愛いって言ったのに。
まだ、エイの事だと思い込んでいる◎。可愛いな、今スグに 横の壁に押し付けて唇を奪ってしまいたい。彼女の薄い生地のワンピースを捲って 揉みくちゃにしてしまいたい、後 15分でここを出なければならない そんな欲望をエイの水槽に全て流しきって 俺は出口の方へ◎の手を引いた。
「もう...終わりか、」
「ん?残念そうだね まだ見たかった?」
「いや!違うの 違うよ」
俺とまだ一緒に居たいって、言えばいいのに。俺が君からの気持ちを知らないって思ってるのかな。
お土産ショップを通らなければ外に出れないようになっている、カラフルな動物達のキーホルダーや中々ハイセンスな小物が揃っていた。
「なんか買っていこうか」
「うん...!」
左手に見えた虎とワニがセットになったキーホルダーを手に取った、これはリカに渡そう。その棚の奥の方に ペンギンのチャームがついたネックレスがあった、真ん中にピンクの石が入っていて◎にぴったりに思えた。
その2つとみんなの分のクッキーやゼリーを適当に購入して、レジに向かった。ぬいぐるみを物色している◎の姿が可愛くて、今すぐ目の前まで行って抱き締めたかった。
二人して出口を出れば太陽が俺たちを溶かすように照らす。
「◎、ありがとう これ今日付き合ってくれたお返し」
「え!?なにこれ、?」
「後で一人で開けてね」
それじゃ、ありがとう また後で!と◎の頭をぽんと撫でて リカの待つ観覧車の方へと向かった。きっと ネックレスを見たら彼女、赤面して「これって どういう意味だろ」って秋に相談するだろうな。
20180422