「有人くんのお父さんってどんな人?」
「...父さんか?」
「ずっと怖い人なのかなぁって思ってたけど、なんか 不器用な飾り付けみたら可愛い人なのかなって 有人くんみたいな」
「俺が可愛い?」
「たまに可愛いよ」
ニコニコと楽しそうに笑う◎と父さんの部屋の前にピタリと足を揃えた、緊張してるのか前髪を整える彼女が愛らしくて緊張を解そうと肩を叩いて「大丈夫だ」と笑いかければ 幼い子供のようにはにかむ◎。
コンコンとドアを叩けば中からいつもよりも優しいトーンの父さんの声が聞こえた。
「失礼します」
「有人と...君が噂の彼女かな」
「あっ、あの 初めまして〇◎です...!」
こんなに焦った声の◎は初めてだ。
「初めまして◎ちゃん よく来てくれたね、有人 とても可愛らしいお嬢さんじゃないか」
「...はい」
「照れた顔の有人を見るのは初めてだな」
「からかわないでください 父さん」
「すまないすまない、こんな事初めてだから ついな」
「初めて?」
「有人が彼女を家に連れてきたのは初めてなんだよ◎さん」
悪気なく優しく笑う父さんとみるみる内に赤くなっていく◎、コイツの前ではいつでも格好付けたいのに恥ずかしさに目眩がした。
「本当?有人くん!」
「あぁ、本当さ」
「有人を宜しく頼むよ◎ちゃん」
「はい!」
「いいお返事だね、そうだ 有人今日みんなに家に泊まってもらったらどうだい?」
「...全員ですか?」
「ああ 客室全て使えば足りるだろう」
ケロッと言い放つ父さんの言葉に「お泊まり会!?」と目を輝かせる◎。
「皆に聞きに行くか」
「うん、有人くんのお父さんありがとうございます また後で!」
「夕食のときにでも学校での有人の様子を教えてくれるかい」
「勿論です!」
頬に集まる熱に耐え切れず◎の腕を掴んで俺はドアの外へと出せば、後ろから父さんの楽しそうな笑い声が聞こえた。
「父さん」
「どうした 有人」
「ケーキの飾り付け、ありがとうございます」
「...内緒だって約束したんだがバレてしまったか」
「嬉しかったです」
照れたように頬を人差し指でかく父さんに「また後で」と言い残してドアを閉めれば、◎がグイッと腕を掴んで自分の目線に無理矢理俺の目線を合わす。
「お泊まり会嬉しいね」
「まだ皆泊まるとは決まってないだろう」
「多分みんな泊まるよ」
「...同じ部屋じゃないからな」
「え!?有人くんと一緒に寝れると思ったのに」
馬鹿かこいつは...呆れ声で「そんなわけないだろう」と言えば肩をかくんと落して「一緒が良かったな」と落ち込む◎。
「一緒に寝るという意味を分かってるのか?」
「意味...?」
廊下を曲がってすぐの所にある自室の扉の前、同じ布団に入って ただ寝るだけだと思っているらしい彼女。
「お前と一緒のベッドで呑気に眠れると思うのか?」
「寝相は悪くない方だよ」
「そういう意味じゃない 察しの悪い女だな」
腕を掴んで自分の方へ引き寄せれば、バランスを崩した◎が胸へと倒れ込んだ。柔らかな香りがふわっと香ってくると同時に「わっ」と間の抜けた声が聞こえた。
「これ以上のことをする...という意味だ」
自分勝手な俺は彼女の唇を奪って扉の向こうに皆がいるというのに舌をねじ込んだ、ワイワイと俺の部屋を探索している奴等の笑い声を聞きながら深く深く◎の舌を追いかける。苦しそうに鼻から息を漏らす◎。
「っ、有人くん...!」
「おい 声が聞こえるぞ」
誕生日に何をしてるんだろうか、キスで溶けだした頭を必死に動かして◎の顎を掴んで壁にこつんと頭を置けば彼女はみんなの声がダイレクトに伝わったのかじたばたと暴れる。
「一緒に寝る、という意味が分かったか?」
「わかった、わかったからもうここじゃキスだめ...」
「そんな顔をしてたら攫ってしまうぞ ◎」
「...べつにいいのに」
眉を垂らして俺を見上げる◎、初めて見る顔にズクっと下腹部が揺れるのを隠して「俺をからかうな」と笑ってドアノブに手をかければ残念そうに溜息を吐く◎が赤いほっぺたを手のひらで隠した。
20190415