最低なキス

「別に嫁との関係は冷めてる 子供が可愛いんだよ」


まだ見たことない我が子が可愛いなんて、男のクセして立派な事ね。風丸の長い指が私の唇をなぞった、新色のグロスが 風丸の指にこってりとついた。

私達はキス以上のことをした事は無い、手も握ってないし抱き締められたことも無い ただ 去り際にキスだけをして帰る。小鳥のような、キス。十年前ならそれだけでも 良かったんだろうけど。

私は風丸が好き それ以上の事がしたいと思うのは当たり前だと思わない?軽く触れた唇で、生きていることを感じた。


「ねえ、風丸 熱いキスしてよ」

「ダメだ」

「どうして?」


心の隙間を埋めてくれるだけの女が欲しかったんなら私は違うでしょ。そう告げて 帰ろうとした。


「待ってくれ ◎」

「なに」

「終わりにならないか..?」


それ以上に進んでも大丈夫か?って意味なのか、終わりにしたいのか どちらでも正直よかった。だけど、私は どうなるのか それだけが気になっている。

風丸が私を好きにならないように そうやって私に唇だけ触れてきたのも分かってる、可愛くて可哀想で 私がいなきゃダメなんだね。


「終わりになんて私がさせないよ?」


強く掴まれた手首、そのまま 私達は夜に溶けた。





20180213
明日バレンタインですね