ミッドナイト

「有人 バス似合わないね」

「お前が乗りたいと言ったんだろう」



新幹線か飛行機に乗ろうと言ったのに彼女は頑なに夜行バスに乗りたいと駄々をこねた、薄暗い車内にはもう既に寝てしまっているサラリーマンや近くのコンビニで買ってきたのだろうひとつのシュークリームを二人で分け合っているカップル コソコソと耳元に唇を近づけてくすくす笑う女子大生くらいの二人が車内に小さな星を振り撒いてるようだった。

一番後ろの席に二人で潜り込めば まるでそこは洞窟のように窮屈で、キャラバンに乗って円堂達と日本各地を回ったあの日々を思い出す。



「手荷物上にあげるか」

「ううん 足元に置いておくよ」

「...お前バスで10時間も移動するのに眠れるのか?」

「うーん した事ないから分からない」



いつも瞼に施されている星粒を散りばめたようなラメ達は冬の夜空に返してきたのだろうか、そんな馬鹿な事を考えていたら じっと俺の目を見つめていた◎が 恥ずかしそうに目を逸らした。



「今日すっぴんなんだから あまりじっくり見ないで」

「俺と出会った頃は髪も伸ばし放題でリップひとつ塗ってなかったじゃないか、何をいまさら」

「女心分かってるのか分かってないのか 本当に分かんないんだから、そういうこと 無神経だと思われるから言っちゃダメ...」

「お前にだけだ」



それってどうなの?

ぷっくりと薄く塗られたリップクリームが暗い中でも一雫光って、吸い寄せられるように 優しく唇を重ねてみた。


可愛らしいリップ音は俺達だけの洞窟で響いた 小さな小さなその音に 楽園への片道切符を手にしたような気分になる、もうこんなフレンチキスではお互い羞恥を感じなくなってしまったのは 寂しがるよりも喜ぶものだろうか。



「有人 もういっかい」

「あまりこういう所ではしたくないんだがな」

「有人からしたくせに?」

「お前がしてほしそうにしていたからだ」



唇を人差し指で撫でれば彼女は 物欲し気な睫毛を揺らして俺の指先に歯を当てた、そのまま歯に指の腹を添えて上にこじ開ければピンク色した舌が光る。



「嫌がらないんだな」



小さな小さな声で耳元に質問を落としてみれば 彼女はぶるりと頭を震わせて俺の指先を今度は少し冷たくなった舌先で撫でた、乗務員のアナウンスも終わり 薄暗かった車内は真っ暗に。

それを合図に 俺達は唇を重ねた。










はぁっと漏れる息も静まり返った車内には あまりにも大きく聞こえる、どれだけ激しくキスをしたところで唇を離さなければ音なんて漏れはしないと 息苦しくなるまで続けたキスのせいだろうか 彼女はくったりとしたワンピースを掴みながら少し上にずらした。

膝から太腿にかけてするりと滑る布を目で追えば こんな場所で求めてはいけないはずの肌色が...。



「舌 出してみろ」



ちろりと覗く舌を音が出ない様に軽く吸えば彼女の肩が揺れた、可愛らしい舌を吸いながら 俺は彼女の下着に触れる。暖房のせいか少しだけあたたまった身体のせいか それとも非日常的な雰囲気のせいか、彼女のそこは俺の指先を飲み込もうとするくらいに 濡れていた。



「随分と濡れてるな」



耳を噛みながらそう告げれば 少しだけ大きく息を吸う◎、これ以上声が漏れないように唇を甘く噛みながらキスを続ける。

溺れていく指先を彼女の中にゆっくりと押し進めれば びくりびくりと小さく震える体、関節を曲げて気持ち良さそうにうねるそこを刺激してみた。



「っ、ゃ」

「サービスエリアに着くまで 我慢できるか?」



こくこくと頷く彼女の額にキスをして 一番奥を撫でてみる。揺れる腰に「このまま しばらく続けるから、イクんじゃないぞ ◎」と告げれば 不機嫌そうな吐息が聞こえた。




20181212