「おめでとう◎」
スポーツカーに軽く腰掛けていたヒロトさんは私の友達に会釈しながら近寄ってきて、バラとダリアとカラーの真っ赤な花束を私に渡した。
噎せそうな程のお花の匂いを感じながら私は目をぱちくりと忙しなく動かす。
「ヒロトさ、ん...??」
「こんな大切な日に俺が来ないと思ったのかい?」
「...◎ー 私達帰るね、お幸せに!」
気を利かせた友人達が意地悪そうにニヤニヤしながら私に手を振る、ぽつんと二人になった私達はゆっくりと目線を絡ませた。
「大学生になったら俺と付き合いたいって言ってた言葉、覚えてるかい?」
「もちろん...」
「後もう少しでそれは叶うけど、俺待つのは苦手なんだ」
グイッと手を掴まれて車に乗せられた私はドキドキと激しい鼓動を必死に抑えようと深呼吸を何度か繰り返す、ちらりと運転席に座るヒロトさんを見たら「こんな所でしたいのかい?」なんて笑った。
このあと何をされるのか、自分が望んでいた事だというのに私は...心の準備が出来てない。
車はヒロトさんのお家に向かって進み出した。
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彼女は何か勘違いしているらしい。
食事を終えて一緒に映画を観ようとソファーに座ればいつもは拳1つ分離れた場所にいるというのに、今日は俺たちの間に人が3人くらい入りそうなほど遠くにいる。
まさか 俺が抱くと勘違いしてるんだろうか、そうだとしたらなんて愛らしいんだろう。ニヤついてしまう口元を指で隠せばそれに気付いた彼女は「ヒロトさん、」と震える声で俺を呼んだ。
「どうしたんだい」
「準備 できました」
「...なんのだい?」
「え?」
「うん?」
「え!?」
湯気でも出そうな可愛い彼女の赤ら顔。
「っ、はは ◎俺に抱かれる心の準備でもしてたのかい そんな事しないよ」
「え、え?もう...驚いた、恥ずかしい...」
「まだしないよ 俺が言ってたのはこれのことだよ」
彼女を引っ張って自分の上に座らせて優しくキスをすれば、初めて見る表情で「なにこれ、はずかしい...」と呟いた。
20190316