初めて、明王の家に来た。元カノと同棲していた部屋…私の知らない明王を知ってる元カノの存在を感じながらソファーにぼすんと座る。
「何か飲むか?」
「なんでもいいよ」
ん、と 差し出してきた冷えたビールを手に取る。あ、今ちらっと見えてしまった 冷蔵庫の端っこに貼られたプリクラ。ずきんっと痛んだ胸を和らげようとビールを流し込む。
「なんだよ、元気ねえな」
「なんでもありませーーん」
きっと、ここから見えるコップやお皿だって元カノのもの キッチン用品揃いまくりだもんね元カノは料理する子だったのかな。どんな子だったんだろ。はあああっとため息吐いて机の上にほぼ空のビールの缶を置いて明王を見つめる。
「んだよ、酔ったのか?」
「酔うわけないじゃん」
「んだよ 機嫌悪いな」
ソファーに押し倒されてそのままキス、明王はキス上手い 前の彼女にもこうやってキスしてたんだろうな。悲しくなってる自分に悲しくなる。首にしがみつけばそのままベッドに連れて行かれて。
「いっぱい 声出せよ」
にやっと笑って細められた目は今は私の物だってわかってるのに、上手く笑えない。もやもやして、普通にホテルに行けばよかったな。
*
「お、あったあった 最後の一個」
いつも外で使う時とは違うメーカーのものを取り出されて私は、怒りのあまり突き飛ばした。
「な、にすんだよ…!!」
ぽろぽろ 落ちていく涙
熱かったはずの身体が急にひんやりと
「私の中全部、明王なの…!バカ!!!」
「はあ!?俺もだっつうの」
「じゃあ元カノと使うはずだったゴムなんか使う!?意味わからない!!!!!」
驚いた顔で私を見つめ
そして、めちゃくちゃ笑われた。
「何なの」
「可愛いやつ、ごめんな そんな風に言われるって思わなかった」
立ち上がってゴミ袋の中にコップとかお皿とか、ゴムとか、冷蔵庫に貼ってたプリクラなんかをポイポイっと捨てて玄関に。
「ほら、行くぞ」
「え?何処に?」
「薬局」
「は?え?」
「お前と使うゴム買いに行くんだよ」
怒ってた私の心がほんわか熱くなった。
20140113