プラネタリウムみたいな空、まだ寒いから桜は眠っている、私の横で私の歩幅に合わせて歩く修也さんは 白い髪をゆらゆらと風に靡かせた。
「寒くないか」
「寒くないですよ」
「そうか」
首元を冷やすなと巻かれたストールがほどけたから修也さんの手を離したら、彼は立ち止まって「どうした?」と私を見た。
「ストール巻き直そうと思って」
「俺がしてやろう」
「...はい」
「少し首をあげろ」
首をあげれば 修也さんとバチンと目が合った、卒業式の日こんな感じで唇が近付いてきてキスをされたっけ。
つい数日前のことなのになんだか遠くに感じる、この後夕香ちゃんと3人で食事なのに 間抜けな顔を見せたら嫌がられるかも。
「...夕香ちゃんはもうお店についてるのかな」
「連絡が来ていたが、まだらしい」
「...私達が付き合うことよく許してくれましたよね」
「その事なら気持ち悪いと言われたさ」
思い出したのか楽しそうに笑う修也さん、自分よりも上だといってもあんまり歳が変わらない彼女なんてまあ確かに気持ち悪いよね...でもそんな事を言う夕香ちゃんが面白くて釣られて笑った。
「でも、お前を泣かす方がキモいからちゃんと幸せにしてあげなよと言われたから 大丈夫だ分かってくれているさ」
「夕香ちゃん...」
ストールを巻き直してくれた修也さんに「ありがとう」とお礼を言ってまた手を繋いだ、冷たい風が吹く中 私達の間はあたたかくて 気分が良い。
「◎ 本当に俺と一緒に居てくれるか」
「今更どうしたんですか」
「いや 確認しただけだ」
「勿論、私は修也さんと一緒にいるつもりですよ」
修也さんは言葉の代わりに繋いだ手をぎゅっと強く握って私をちらりと見た、反射的に目を合わせれば 彼は照れ臭そうに鼻を鳴らして笑いそして前を向く。
お店が見えてきた。お店の前には夕香ちゃんが三つ編みを弄りながらつまらなそうに空を見ていて、私達は少し小走りで彼女の元に向かった。
20190317