あれから時間経って

10年前、鬼道君と付き合ってたけど サッカーサッカー勉強サッカーで私は後回しの存在だった。怒鳴り散らして別れて気まずいのに、今隣にいる。きっと向こうは私の事気づいてない。ちらっと見えた赤い目、相変わらずカッコイイな。腕につけられた時計はやっぱり、君の好きなブランドのもの よく見るとスーツもそのブランドで統一してる。


私、鬼道君の事が好きで

そこのブランドの販売員になったんだよね 私も鬼道君と一緒のブランドで統一してる。なんだか それだけでも嬉しくて砂糖を入れすぎてこってりと甘いコーヒーを一口。



「久しぶりだな」



思わずコーヒーを吹きかけた
驚いてバッと横を向けば鬼道君が私を見ていた



「え?な、に 気付いてた?」


「外から見えてな、隣に」



それなら声かけてくれたらよかったのに、綺麗に巻けた髪をいじいじとしてると急に手が伸びてきて 耳に触れた。



「一緒だ」


「あ、ピアス…」



鬼道君の耳を見ると、きらりと光っているシルバーのピアス。確かに一緒だ、それだけで 嬉しくてにやけてしまった。




「何笑ってるんだ?」


「なんでも」


「そうか、元気だったか?」


「うん 元気だよ」


「そうか」



なんか 変わらないな

だけどそれが今はとても幸せに感じる。




「仕事は何をしてるんだ」


「鬼道君の好きなブランドの販売員です」


「…そうか」



ちらっと見えた口元は緩んでて

まだ私の事好きか、とか 期待してる私


コーヒーを飲み干して
時間を確認、後20分はゆっくりできる



「鬼道君、また 会わない?」


「そうだな」


「はい、携帯番号」


「ああ」


10年、10年ってこんなに長かったのか。君以外と関係持ってもなんか違うって思って とっかえひっかえしていたんだよ。私 滅茶苦茶乙女。




「それじゃ、私仕事戻らないと」


「ああ 頑張れよ」


「ありがとう また、連絡してね」














職場について、財布をロッカーにいれてしばらくしたら携帯が鳴って。





”お前ともう一度向かい合いたい”



その文面に私のテンションはマックス。勿論、イエスで。



20140115