私が基山ヒロトと出会ったのは イナズマジャパンの合宿所だった。「俺が君を幸せにしたい」なんて言ってくれたっけ、恐ろしい程によく出来た男の子。人の痛みが分かるから、人にとても優しかった。私はそんな彼が本当に好きで 好きで堪らなかった。付き合ってからも 私は彼の立ち居振る舞いに文句一つ言ったことがなかった、だって完璧だったから。彼は本当に完璧で、流星を散りばめて作ったような綺麗な瞳を持ってて 彼はこの世に彼だけだって 圧倒的な魅力を持っていた。
「◎ちゃん」
「ヒロト君、寒いね 今日も」
「うん、寒いね これ着るかい?」
自分の着ていた黒のブルゾンを私の肩にかけて、 どうぞ と缶のココアをくれた。来る途中で買ってくれた所を想像したら 愛しさにパンチされる気分で とても嬉しかった。...こういう所、いつもいつも一緒だな。大好き。
「ヒロト君 今日泊まってもいい?」
「俺はそのつもりだったよ」
長くて白い指が私の左手に触れて、見つめあう。緑の深い目に吸い込まれるように キスをして バカップルみたいに笑い合い 私達はしっかりと手を握ってヒロト君の部屋に向かった。
▽
いつも通りのキスをして、いつも通りに体を触った。すべすべの白い肌のヒロト君は 女の子みたいなのに しっかりとした筋肉が私を包んで 女にしていく。触れられる場所 全てがじんわりとあたたかくなって燃えていく。まるで火炙りされてるみたいに、激しく感じてる。
ヒロト君、私の大好きな ヒロト君。
首にちくっと痛みを感じて 「すぐ付いちゃうんだね」 なんて照れ臭そうに笑ってる、ずるい顔だなぁ。「普段こんなことしないのに 珍しいね」軽い女に見られないようにって そういう事はしないヒロト君だったけど、ヒロト君の物だって証をつけられたのは正直いって嬉しかった。
「もっと、もっとつけて...」
「いいのかい?」
「うん...嬉しい、ヒロトくんのモノだって 私の身体に教えてるみたいで」
細い首に腕を絡めた、ぐっと 力が入り肌と肌が密着した。あたたかさに 泣きそうになるくらい幸せを感じて ヒロト君の瞼にキスをした。「大好きだよ、◎ちゃん 一生君とこうやって 何も変わらずに愛し合ってたい」って、私が照れる方なのになんで ヒロト君が照れちゃうかな...。
◇
優しい愛情をぶつけ合った後、二人して眠りに落ちた。夢の中...ヒロト君の後ろ姿が見えて 嬉しくなって呼んだら「ヒロトなら 吉良さんの家にいるよ」なんて意味の分からないことを言うものだから。私は「何冗談言ってるの?」って返した。「俺の名前は*****だよ」って 聞こえない...なんて言ったんだろう...?
「ヒロト君!冗談はやめてよ...」
私の事をからかってるんだ!って思って怒って言えば 本当に何を言ってるか分からないって顔をされた...ぐにゃりと輪郭が溶けて ソフトクリームみたいになって...。ひっ と小さい悲鳴をあげて 私は一目散に逃げた 後ろの方でくちゃくちゃとガムを噛む音が聞こえる。
涙を流しながら 目を覚ました。
そこは、ヒロト君の部屋で 横を向けば 裸に毛布をかけているヒロト君の綺麗な赤い髪が見えた。「ひろとくん...ねぇ、おきて...」縋るような声が出た。不気味で嫌な夢だったから 大丈夫だよ って撫でてキスしてほしい...。
「ん、どうしたの...?」
「ヒロト君...」
「...なんで泣いてるんだい?」
指で涙を拭われて、ぎゅうと抱き締めてもらった。夢で何があったか一生懸命話をした ぽんぽんと頭を撫でてくれて 落ち着いてきた。
「怖い夢だったね」
「本当に怖かった、ヒロト君は 産まれてからずっとヒロト君として生きてきてたのに 夢の中では初めて会う人みたいな...違う人になってて怖かった......」
「...僕は元々ヒロトじゃないから」
「ご、めん...そんなつもりじゃ...」
「元々誰かが貰うはずだった幸せを俺が奪ったから、当然の報いなのかも」
悲しそうな顔で笑って、私の頬を撫でるヒロト君。ねぇ、私にとってのヒロト君は 今まで頑張って生きてきてくれたヒロト君なんだよ。って 言いたかったけど。言えなかった。だって
夢の話だったから。
少しの沈黙のあと またキスをして、二人共深い眠りについた。
20180311