妹の企み

「〇さーん!お久しぶりです!」

「春奈ちゃんー会いたかったよー!星章学園はどう?次ウチと試合だよね...?」



星章学園の制服に身を包んだ春奈ちゃんは随分と大人に見える、私は豪炎寺君と共に木戸川清修に派遣されたので 二人とも同じ学校なのに違う制服を着ているのがなんだか変な気持ち...。

少し強めの風が吹いて 二人ともスカートかひらりと揺れた、風が止むと 私の後ろに視線を飛ばして 大きく手を振り出した春奈ちゃん。



「お兄ちゃーん!こっちこっち!」



お兄ちゃん...??

ってことは鬼道君...!?なんで...春奈ちゃんの顔を見るとニタニタと笑っていて。

や、やられた!



「...◎!?」

「おっ、お久しぶりです...鬼道君...!」

「そうか 木戸川に派遣されたんだったな、豪炎寺にお前との本気の試合楽しみにしていると伝えておいてくれ...そして...春奈...」



鬼道君は恥ずかしそうに咳払いをして春奈ちゃんの肩に手を置いてそそくさと私の方から離れて行った、鬼道君も聞いてなかったのか...。

もう かれこれ1年以上も片想いを続けている相手...帝国、雷門、星章 どの制服も似合っている...。カッコイイなぁなんて眺めていたら 春奈ちゃんがコチラに小走りで駆け寄ってきた。



「ほら、行きましょう〇さん!今日は3人でデートです!」

「えっ」

「こら春奈...◎が困ってるだろう、」

「えー だってデートだもん」



ツンと唇を尖らせて悪戯っ子のような顔を見せる春奈ちゃん、あ あざとすぎる...。鬼道君を見るとなんだか気まずそうに私を見ていた。



「鬼道君と 外で会うの初めてだよね」

「ああ、そうだな...」

「えっと 今日はよろしく、?」

「...よろしく」


「お見合いでもしてるの?」



春奈ちゃんの呆れ返った顔が辛い、星章学園のブレザーをキッチリと着こなす彼がカッコよすぎて上手く喋れないのがもどかしい。

好きな人に手を伸ばせば触れられる距離にいるのに行動を起こせるような女じゃないのももどかしい...。



「ささ、早く行きましょ!」










"お兄ちゃん 今日こそは告白してもらうからね...!豪炎寺さんに取られちゃってもいいの!?"


春奈のキラキラした瞳が俺の心臓を握り締めた、正直 俺と◎は両想いだ 皆も知っているだろう。お互いに好きな相手だと答えているのだから。だが、お互い本人に伝える機会がなかった。



「はい、チケット!」

「春奈ちゃんありがと」

「...お前のは?」


「やだなー お兄ちゃん二人の邪魔出来ないよ、私は3番シアターでホラー映画観るんだから!」



チケットを見れば、2番シアターと書かれていた。...自分の妹ながら 恐ろしいぞ春奈。

春奈はそれじゃ!と元気よくポップコーンを1粒落として慌ただしく3番シアターに消えて行った。



「...お互いやられちゃったね」

「ああ...とりあえず 俺達も入ろう」



春奈に持たされたポップコーンやオレンジジュースを手に、2番シアターへと向かった。暗がりに二人で足を踏み入れると なんとも言えない緊張感が身を震わせた。今からこんな暗い場所で 肩がぶつかってしまうような距離で 恋愛映画を観ないといけないなんて...。

ちらりと後ろを歩く◎を見れば、もじもじとしていた。可愛いその仕草に 小さくため息を吐いてしまう。どうしたらいいんだ...?



「ここの席だ」

「全然人いないね...」

「...そうだな」



そんな事を言われたら意識してしまうだろう、制服のネクタイをゆるめて座席に着く。映画が始まる。








映画も終盤だ、学園祭の最後 主人公はヒロインを乱暴に抱き締めて愛を告白するシーン...。こういうのって本当にドキドキしてしまう、どんな言葉で 告白するんだろうか。



"好きだ"
「好きだ」



...ん?

なんか今、声がダブって聞こえた気がしたような。すると...鬼道君が私の手を握った。

汗ばんでるその手に 「好きだ」 の声の持ち主が分かってしまった。



「好きだ、◎」

「...っき、鬼道君」

「我ながら恥ずかしい告白の仕方だってわかっている」



横を見たら、鬼道君もこちらを見ていた。恥ずかしそうに眉を垂らして 私を見ていた、ずっと本人から聞きたかった言葉が...こんな青春ドラマみたいな形で聞けるなんて思いもしなかった。



「知ってると思うけど...私も好きです、鬼道君」

「長かったな こうなるまで」

「本当にね、」



エンドロールの最中 手を握ったまま無言で画面を見つめていた、緊張しているのを伝え合ってるみたいで なんだか本当に恥ずかしい。春奈ちゃんとどんな顔して会えばいいのか。



「そろそろ出るか」

「うん」

「このまま行こう」

「手繋いだまま...!?」

「春奈にちゃんと報告しないと、怒られてしまうからな」



ふんわりと柔らかく笑って、私の手を握ったまま 出口へと引っ張ってくれた。チケット売り場の前にあるベンチ前に行けば 春奈ちゃんが携帯をこちらに向けてニヤニヤしていた。



「はーい!皆さーん やっと二人が付き合いましたよー!」

「春奈!」「春奈ちゃん!」



実は豪炎寺さんと考えたんですよー!撮ったムービーを雷門のメンバー全員に送ったと、ケロッと言い放つ春奈ちゃんにお互い目眩を覚えたが なんだか幸せで笑ってしまった。


20180428