こっそりと こっそりと盗んできた鬼道さんのライセンスカード...これでロッカー開けれる...!
「スライドさせてっと」
ピピッと小さい電子音が、そのあと開いたロッカーに手をかけると 鬼道さんの柔軟剤の匂いがふわりと香った。
なんとまあ、上品なんだろうか...
綺麗に畳まれた制服とジャージ、汗ふきシートとタオル。鬼道有人の世界がこのロッカーに広がっていると思うと、息をすることすら勿体無い気がして。
「あっ、手紙 早く入れなきゃ」
今日渡そうと思っていた長い長いラブレター、彼を目の前にしたら渡せなくて ライセンスカードを泥棒してしまったのだ。
こんなの怒られちゃうだろうけど、鬼道さんの近付きにくいあの雰囲気が悪い...。
「よし!これで...」
「何をしている」
い、つの間に...?
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引き攣った笑いを俺に見せ、〇はロッカーをバタンと閉めた。カードがないと思っていたが 犯人はこいつか。
「何をしていた?」
「あの、その」
モジモジとしながら 上目遣い気味に俺を見ると、バツが悪そうな顔をして逃げようとした。咄嗟に掴んだ腕は日焼けしたあとのように熱かった、腕を引き俺の前に立たせた。
「何をしていたんだ」
「...あのその...ご、めんなさい...カードを盗んでロッカーを開けました......」
「何でそんなことを」
「...てがみを、いれたくて」
徐々に赤くなっていく顔に眉が上がる、カードをスライドさせ ロッカーを開ければ可愛らしい薄いピンク色の便箋が...。
それを手に取ると彼女は「わたし、先でます...!」と焦った声を漏らした。
「駄目だ、そこにいろ」
「で も...」
「言うこと 聞けるだろ?」
はい...!
まるで耳でも垂れてるように見える、怒られた犬のようにしょんぼりと体を小さくして俺の後ろで 恥ずかしそうに顔を隠す。
便箋をあけて、中に入っている紙を取り出した。白い紙に 彼女の想いを混ぜ込んだピンクのペンで書かれた丸文字。
"すきです"
最後に書かれた可愛らしい言葉にクスリと笑えば、〇は俺のマントを引っ張った。
「も、もう...恥ずかしいから読まないでくださいよ......!!デリカシー無いんだから!」
「盗っ人にそんなことを言われてもな」
「うっ...返す言葉もございません...」
綴られた丸文字のように可愛らしい彼女の唇から零れ落ちる恥じらいの言葉や、ペンと同じピンクの頬が愛らしくて 俺は〇を抱き寄せてバランスを崩した俺達はロッカーにもたれ掛かった。
何が起きたか分からないって顔で俺を見ると「き、鬼道さん 離して」なんて...恥じらいを溶かした声が。
「離さないさ」
「そんな、あの...え?」
「手紙 ありがとう、カードを盗んだことは褒めれないが...俺にこれをどうしても渡したかったんだろう?」
「...はい」
丸みを帯びた唇に自分の唇を重ねた。
言葉よりも先に キスをしてしまうなんて、節操のない男だと思われているだろうか。
唇が離れると 彼女は金魚のようにパクパクと口を開け閉めする、もう1度キスをしようと唇を近づければ彼女は右手を俺の唇に...
「やだ...っ、恥ずかしくて死ぬ...」
「死なないさ」
握り締めれば折れてしまいそうな華奢な手首を掴んでもう一度キスをした、「俺も好きだ」と言う言葉を吐く時間すら勿体無い 目の前の彼女を食べ尽くしたいくらい燃えている心臓を抑える術を知らぬまま 少しだけ大人ぶった唇で彼女を味わった。
小さく声を漏らす彼女の心臓の音、それを自分の心臓に響かせる様にきつく抱き寄せる。
20180518