星章学園との戦いに敗れてしまっても、後輩達の育成に力を入れる為 毎日毎日サッカーに励んだ。試合の日 言葉を交えることは無かった彼女は、少しだけ大人びた表情で 俺に笑いかけていた。
鬼道の横で 少しだけ近付いた二人の距離を敏感に感じたクセに、俺は割って入ることも「好きだ」と伝える事も出来ず ただ木戸川の選手達に喝を入れる事で自分の気持ちに蓋をしたのだ。
「よし!休憩だ お前達ー!」
二階堂監督の声がグラウンドに響いた、俺達は汗を拭くためにマネージャー達からタオルを受けとると1度部室に。
「豪炎寺、さっき元雷門のマネージャーがお前にプレゼント置いていったぜ」
「プレゼント?」
「さっき、グラウンドまで入ってきて これ豪炎寺に渡してくれってさ...なんだっけ 全部忘れてなんて言ってたけど」
「...名前は言っていたか?」
「星章学園の制服着てて、可愛い子だったけど...ほらあの眼鏡かけてる方じゃなくて」
座ったばかりの椅子からすぐに立ち上がると西垣からプレゼントの箱を受け取った、去年と同じ色の箱に 赤いリボン。〇が...ここまで来てくれたのか、?
「すまない、行ってくる...!」
「なっ!?豪炎寺...!おい まだ、部活...!!」
「行ってしまいましたねぇ」
「つーか、豪炎寺でもあんな顔するんだな みたいなァ?」
武方三兄弟の声が耳に届いたが、止まらない俺の足...どうか間に合ってくれ。忘れるものか 自分勝手な気持ちを胸に、俺は グラウンドを通り越して校門を抜けた。
「〇!!」
「豪炎寺くん...?」
泣き出しそうな顔をして〇は立っていた、見慣れない星章学園の制服に身を包んだ彼女を俺は断りもせずに抱き締めれば 俺の腕の中で小さく震えた。
「すまない...嘘だと思われるかもしれないが毎日お前の事を考えていた」
「...忘れられてしまったと思ってた」
「〇、俺も好きだ お前と...一緒に居たい 会いたかった」
ボロボロと漏れていく俺の恋の告白達は、彼女の耳に届いたようだ 綺麗な目から流れ出た涙は世界で一番綺麗に見えた。
「〇、待たせて本当に悪かった」
「...本当に 遅いよ、豪炎寺くん」
垂らした眉から感じる愛しさや、彼女の生きている熱を感じて 俺は気持ちを抑えきれなくなって唇を押し付けた。張り倒されたってかまわないから、彼女に 全身で謝罪とお前に恋をしてるって事を伝えたかったんだ。
「...っ、豪炎寺君...ここ学校の前だよ」
「キスをしてはいけない理由はそれだけか?」
「そうだ、けど」
「なら かまわないな」
もう一度 熱さを全て俺のモノにする為にキスをした、グラウンドの方で後輩達の声や 二階堂監督の声が聞こえるが...1年も待たせてしまった恋を取り戻すのに今は必死になっているんだ 許してくれるだろう。
「...はずかしいよ、」
「〇 部活が終わるまで、待っていてくれないか」
「わかった」
「大好きだ、〇...やっと手に入れた」
コツンとおでこ同士を当てて、彼女の手をぎゅっと握った。この幸せを今は 皆に自慢したくて堪らなくて、彼女の腕を引き グラウンドへと向かった。
20180530(豪炎寺修也 誕生日2018)