「いつまで買い物する気なの?」
「まだー 後、あそこの服屋さんだけで終わりだから待っててよ」
「さっき服買っただろう、待つのも荷物持ちも嫌なんだけど」
「何言ってるの?いつも西蔭君に持たせてるくせにー」
死ぬ程嫌いな匂いの充満する石鹸屋、色んな匂いが混ざってるココでよくもまあ長居できるな。
俺は彼女が買った化粧品とスポーツブランドのショップバックを右手に、派手な水着を買った服屋のショップバックと彼女の鞄を左の肩にかけてウンザリと彼女の後ろを着いていく。
「ねえ、悠馬 どっちの匂いが好き?」
「俺この匂い無理なんだけど」
「どっちか選んでよー」
「どっちも嫌い」
唇をスクラブする とかなんとか言っているけど、俺には興味が無いフイッと目を逸らせば◎は俺の胸板をぽんと叩いた。
「もー 悠馬のばか、どっちも買う!」
「...好きにしなよ」
バイト代が入ったから買い物して憂さ晴らしすると言われたが、こんなの俺がストレス溜まるじゃないか。
大人しく西蔭を連れて 映画と自分の買い物に行けばよかった、年上の彼女はとにかく物欲が凄い 自分のお金だからいいでしょと言われても財布が軽くなる代わりに俺に負担がかかる事はやめてくれなんて思いながら レジにむかう彼女の後ろ姿を見つめる。
今着ている服は 汗で濡らすために買ったわけではないのに、首からかけたアクセサリーが汗で痒くなってきた。
「お待たせ 次で最後だから行こ」
「...そんなに買ったの、?」
「うん 箱に入れてもらった可愛いでしょ?」
「それ俺が持つんだよね」
「当たり前じゃない」
「西蔭呼んでいい?」「ダメ」
あっさりと吐き捨てる様に俺に箱を持たせて、腕を引っ張る彼女、もたつく足で必死についていけば スウェーデンのアパレルショップに。
涼しい店内のせいか 汗がパリッと乾き、急激に冷えた。彼女は欲しいものを片っ端から手に取り 二階にある試着室へと俺の手を引っ張る。
「...近くのカフェで待ってるからゆっくり試着すればいいだろ」
「ダメ、悠馬に決めてほしいの」
「君ならなんだって似合うだろう」
「そうだけど...悠馬の気に入ったの買いたいの!だって、デートの時しか着ないんだから」
試着室のスラッと背の高い店員に ◎は試着したい服を見せて、一番奥のカーテンに消えていった。俺は荷物を床に置いて深い溜息を吐く、西蔭みたいな身体なら疲れないんだろうけど どっと疲れてしまった。
数分ぐったりと待っていたら 店員が呼び出されたのか、持ち場から離れる その時に奥のカーテンが開き 爽やかな色のワンピース姿で登場した◎。
「どう?」
「似合うよ」
「本当に?」
「ああ」
「じゃあ、これ買いね 次のやつに着替えるー」
ちらりと横目で 彼女がカーテンを閉める姿を見つめた、可愛いんだけどな 我儘ばかり言わなければ。カチコチと時計の針が音を鳴らす。
彼女は今下着姿なのかとぼーっと考える、カーテンの向こう側で いけないことでもすれば彼女は自分の我儘を反省してくれるだろうか。
くすんだピンクのカーテンを暫く見つめて、俺は彼女の荷物達を手に立ち上がった。声を出させないように しないとな。
20180712