かき氷


「あれ?」

「わ、色お揃いだね」



待ち合わせ場所に現れたのは うっすらと黄色の綺麗な浴衣をカッコよく着こなす照美の姿、私も同じ色の浴衣で来たせいか なんだかペアルックのようで恥ずかしい。



「髪の毛綺麗だね」

「お母さんに編み込みしてもらったの」

「へえ 君のお母さんは手先が器用なんだね」



にっこりと微笑む照美につられて私も笑った、彼と手をゆっくりと重ね 歩き出した。まず何を食べようかなぁ なんて考えていれば「お腹空いてるかい?」と優しい声が。



「うん、照美は?」

「君と屋台を楽しむ為に お腹を空かせてきたんだよ」

「そうなの...?」



嬉しい言葉、照美の手をぎゅっと強く握って私は キョロキョロと食べたいものを探す。すると 照美は此処で待っててと 私を大きな木の下に待たせて 人混みに飛び込んだ。


暫くして、戻ってきた照美の手には焼きそばやいか焼きやフランクフルトなんかが沢山積み上げられていた。



「...いっぱい買ったね、半分持つよ」

「うん ベンチで食べよう 向こう側空いてたし」



ベンチに座り 私達の間にずらっと並べたご飯達を眺めてみた、私達は見つめあって「いただきます」と呟き 箸を伸ばした。










「ごめん照美、私もう食べれないかも」

「僕が食べるからいいよ」

「照美ってこんなに痩せてるのに どこに入るの?」

「一応 男だからね、サッカーもしているし 消費するのかも」

「私も運動しようかなぁ」



彼女のそんな言葉が可愛くて 箸を置いて、ふにっと柔らかい腕を掴んでみた。



「僕は君の今の体 好きだけど」

「言い方...!」

「柔らかくて 女の子らしくて素敵だよ」



本心でそう言っているのに彼女は うーんと悩んだ顔をする、抱きしめた時に気持がいい彼女の体僕は好きなんだけどな。なんて 考えながらまだお腹がすいているので イカ焼きと焼きそばを平らげれば、彼女はぱちくりと瞬きした。



「どうしたんだい?」

「照美と焼きそばって死ぬ程似合わないなって思って」

「お祭りで食べる焼きそばって、なんだか美味しくて好きなんだ」









しばらくお祭りをぐるぐると回って、照美が金魚すくいと射的でゲットした賞品を抱えて出口の方に向かった。



「...かき氷」

「最後に食べていくかい?」

「うん」

「じゃあ そこの階段で食べよう、悪いけど荷物を持って先に行ってて」



照美に言われた通りに階段に向かえば 涼しい風が私の足首を冷やした、こんな夜まで照美といるのは初めてだな。ウキウキと高鳴る鼓動を落ち着かせるように階段に腰をかけて 照美を見つめると、私の視線に気がついたのかこちらに手を振ってくれた。

セルフサービスのお店なのか 照美がかき氷にシロップをかけている、その姿が面白くてクスクスと笑っていたら彼はこちらに向かってきた。



「笑ってただろ」

「だって 全部が似合わなくて」

「酷いな君は、はい 君のかき氷」



いちご味のシロップがかかったかき氷をたっぷりと掬って口に運べば、キーンと頭が痛んだ。人はなんで頭が痛くなるのにかき氷を食べずにはいられないんだろう、なんて馬鹿みたいなことを考えていたら 照美はブルーハワイの綺麗なかき氷をこれまた綺麗な口に運んでいた。



「キーンとしないの?」

「君は一度に沢山いれるからそうなるんだよ」

「そっか」



舌が痛くて 口の中からべーっと出したら、照美が「こっちに舌見せてよ」なんて事を言い出した。



「はずかしいからヤダ」

「見せてよ お願い」



その目に弱い 私が恐る恐る小さく舌を出したら、彼は私の舌の先をぐいっと引っ張った。何が起こったのか分からずぱちぱちと瞬きすれば「僕も変わってる?」と悪戯っ子みたいな顔して舌を出してきた。



「かわってる...」

「キスしたら 紫になるかな」

「そんなわけ!」

「試してみようよ どうなるか」



祭りを楽しんでる子供たちと お酒で気持ちよく酔っ払ってる大人たちの声が聞こえてるのに、照美は私の唇を奪って 冷たい舌を捩じ込んできた。




20180707〔七夕〕
二人共かき氷のシロップで舌の色が変わってるのを見てキス

ふぁぶ様 この度はリクエスト頂きありがとうございます、遅くなってしまい大変申し訳ございませんでした...!

かき氷のシロップで舌の色が変わってるのを見てキスなんて...そんな可愛いシチュエーション私のIQ3な脳みそじゃ思いつかなかったので、衝撃を受けました...!可愛く書けてたらいいなと不安ですが、とても楽しく書かせて頂きました。

次回のリクエスト募集は12月ですが、またどうぞ 宜しくお願い致します。改めまして ありがとうございました。平成最後の夏を楽しみましょー!