夏はきっとYELLOWキッス


「オイ 明明後日の花火大会お前行くヤツいないだろ、空けとけよ」



灰崎君からの強引なお誘いにドキッとしてしまい何度も頷いた3日前が懐かしい、誘われた嬉しさに無茶なダイエットをしたせいか 少し風邪気味だった身体はどっぷりと病に犯されてしまったようだ。

3日間あまり何も食べてないからかフラフラとする頭、熱のせいで気持ち悪さがプラスされて最悪だ。今日の夜折角 デートできると思っていたのに、着ることが出来なくなった浴衣がクーラーの風で寂しげに揺れる。


灰崎君にラインするの怖いなぁ...
絶対怒られちゃうだろうし、でも 今日はお母さんもお父さんも遠出して二人して1泊2日の温泉旅に出かけてしまったし...。仕方が無いので水神矢先輩に連絡する事にした。


"何時でもいいので、ポカリとかなにか軽食買って来てもらえますか...風邪ひいちゃって"


すごく自分勝手なお願いを一方的に送り付けて私はどっと汗をかいた身体を冷やす為にフローリングに寝そべった、灰崎君にはなんて言い訳しよう。



「楽しみにしてたのに」



熱が出た時ってなんで涙出ちゃうんだろう、ピコンと音が鳴り 携帯を見れば水神矢先輩からメッセージが届いていた。

"俺じゃなく 灰崎に頼むべきじゃないか?"

うわー 水神矢先輩っぽい、うーんうーんと悩んで私は"灰崎君に怒られちゃいますもん...先輩、一生のお願いです"と送り返す。

これで一生のお願いは5度目だ、毎回優しく聞いてくれる水神矢先輩本当に好き...。連絡返さなければ心配で家まで来てくれるだろう そんなふざけた考えを胸に私は風邪薬のせいで軽い睡魔に襲われた、1時間くらいはかかるだろう そう思って寝る事にした。









「あの馬鹿女 いい度胸してやがる」

「...灰崎、あまり〇を責めてやるな」

「俺の女だから勝手だろ」

「とりあえず これ、〇に頼まれてたやつだ 優しく看病してやるんだぞ?」

「ありがとよ、キャプテンさんよ」



◎のやつ、俺にじゃなくて水神矢に頼みやがって。俺に怒られるからだと?

◎の家、ドアをゴンゴンと叩けば 「えっ、なに なに」と間抜けな声が。



「おい 開けろ」

「ひっ!? 灰崎君、?」

「水神矢の方が良かったのかよ、あ?」

「そうじゃなくっ、て」



熱でフラフラしてんのか 玄関でガクッと倒れ込みそうになる◎の身体を抱き上げる。



「熱は?」

「わかんない、はかってないから」

「...はぁ 中入んぞ」



靴を脱ぎ散らかして 奥にある◎の部屋まで引きずるようにして連れていけば、小さい声で「ごめんなさい」なんて呟きやがる。



「体調悪ぃなら普通に連絡してくればいいだろうが」

「...違うの、お誘いがうれしくて...そのちょっとはスタイル良く見えるといいななんて思って ご飯たべなかったり無茶したせいで 風邪引いたの」


「ダイエットってことかよ、」



布団に転がして横に座った どんだけ馬鹿なんだよコイツは、赤い顔を俺に向けて「怒らないで」なんて言いやがって。



「怒らねぇよ」

「へ?」

「お前が俺の為にしようとした事だろうが、怒れねぇだろ」



水神矢から手渡された冷えピタともうすっかりとぬるくなったポカリを取り出して ◎に渡せば今にも流れ出しそうな涙を俺に向けて「怒らないの??」と間抜けな声を。



「そんなに怒られてえのか?」

「ちがうよ、怒鳴られると思ってたから」

「連絡してこなかった事に怒ってるだけだ ほら、これ貼るからデコ出せよ」



恥ずかしそうに自分の前髪を上げる◎のおでこに冷えピタを貼ってやれば、冷たいのかきゅっと目を瞑り 「んんっ」 と苦い声が。



「なんて声出してんだよ」

「冷たかったから、!」

「...ポカリ、一人で飲めるか」



水神矢のやつはどこまでも気が利くようだ、長いストローが一緒に入っていたのでペットボトルにそれを刺して手渡してやれば 柔らかい顔して◎は飲んだ。

ごくんごくんと喉が鳴る。



「...灰崎君ごめんね、今日楽しみだったのに」

「何回も謝んな」

「でも」

「仕方ねえから、今月末に関西であるでっけぇ花火大会連れてってやるよ」



クーラーの風で揺れる浴衣は どこか楽しげに揺れていた、◎に視線を戻せば「灰崎君...大好きぃ...」なんて情ねぇ声を出した。

そんな◎が可愛くて、風邪うつるの覚悟でキスをすれば ほんのり甘いポカリの味が。



「うつるよ」

「人にうつしたほうが治りが早いだろ」




20180707〔七夕〕
花火大会に行く約束をしたのに、風邪をひいてしまう夢主

塩さん!今回もリクエスト頂きありがとうございます、毎度遅くなってしまい大変申し訳ございません...!

水神矢君ちろっとだけ出演させてみました、メインは灰崎君です。馬鹿女とか言いながらもちゃんと気遣ってくれる灰崎君に看病されたらハッピー太郎ですよね、、。

幸せなお話に出来てよかったです!

次回のリクエスト募集は12月ですが、またどうぞ 宜しくお願い致します。改めまして ありがとうございました、今後も沢山お喋りしてくださいー!大好きです!
平成最後の夏 バイブスブチアゲて行きましょ~!