柔らかいPINKの祭ばやし


15分も早いというのに待ち合わせ場所でばったりと会ってしまった。



「早いな」

「源田くんこそ...!」



薄らと化粧をしている◎は いつもよりもうんと大人っぽく見える、オレンジ色の浴衣が愛らしくてじっと見つめてしまった。



「変かな ?」

「いや 凄く似合ってる」

「...源田君のユニフォームの色をイメージしたの、フェイスペイントもオレンジだし 源田君オレンジ好きかなって思って、」



ほんのりとピンクだった頬が真っ赤になるのと同時に、語尾が段々と小さくなっていく◎。その言葉があまりにも予想外すぎて 言葉を失い、つられて照れてしまった。

嗚呼 こんな場所で言うつもりではなかったのに、うっすらと口を開いて彼女に向かって"好きだ"と言おうとしたその時...。



「源田と〇、お前達はなんで毎度こんなに早いんだ?」



淡い水色の浴衣を爽やかに風に揺らせた佐久間が みんなを連れてやって来てしまった、なんてバッドタイミングなんだろうか。◎は俺の顔をちらりと見てから赤い頬を手の甲で冷やし 佐久間達に挨拶をした。

また、告白のチャンスを逃した俺は がっくりと少し肩を落として佐久間達の後ろをついて行く。階段を上がれば 楽しそうな匂いに包まれた、焼きそば 焼きとうもろこし いか焼き たまごせんべいに...少し落ち込む心に栄養を染み込ませるように 肺いっぱいに息を吸った。



「なぁ、俺 金魚すくいやりたい」

「まずは 射的だろ」



辺見と万丈が意気揚々と人混みに飛び込む、その後を追いかけるようにして俺達も 暑苦しい人の波に飛び込んだ。










慣れないから足が痛いなぁ、でも みんなが楽しそうに笑ってサッカー以外の事をしてるのを見るのはマネージャーとしてなんだか嬉しい。

焼きそばや いか焼き 焼きとうもろこしをみんなで1口ずつ回していたら 段々とお腹がいっぱいになってしまった。源田くんはまだまだ食べ足りないみたいで 次に食べるものをキラキラとした眼差しで探している、そんな目が可愛くてじっと見つめていたら「おい 見過ぎだろ」と佐久間君の声が...!



「み、みてない」

「皆、お前達が好きあってるの知ってるぞ 今更何を恥ずかしがって」

「声が大きいよ...!源田君に聞かれたら恥ずかしいじゃない...」


「はぁ お前達って小学生みたいだな」



むかっとして頬を膨らませれば、佐久間君はケラケラと笑って成神君と洞面君と輪投げを始めた。



「...佐久間君ったら」

「佐久間がどうかしたか??」


「ひっ、源田く...ん」



ズイっと顔が近付いてきて驚いてしまった。


フランクフルトを手に持って首を傾げている源田君 指にケチャップが垂れそうになってる急いでティッシュを取りだして手に握らせれば彼は少し驚いた表情を見せて そして照れ臭そうに笑った。



「ありがとう」

「どういたしまして」

「...そうだ、◎ 綿あめかりんご飴食べるか?」



源田君が左手で指をさす先には ふわふわの可愛い綿あめが詰まった袋がぶら下がった屋台と、真っ赤に可愛く光ってるりんご飴の屋台が...。



「...そうだなぁ、お腹一杯になってきたから 綿飴の方がいいかも」

「そうか ちょっと待っててくれ」










彼女の顔よりも大きな綿飴は薄らとピンク色で可愛らしい、それを手渡せば彼女は嬉しそうに顔を緩ませ感謝の言葉を述べる。

思わず 柔らかい頬に触れそうになったが、遊び疲れた佐久間達が俺達の元に帰ってきてしまった。



「そろそろ帰るか」



その声にバラバラに返事をする帝国イレブン、俺と◎は少しだけ視線を絡ませて ゆっくりとお互い近寄った。

みんなの後ろを1歩半下がって歩く、遠くで祭囃子がきこえる。



「...◎、美味しいか?」

「うん 源田君ありがとう、一緒に食べる?」



甘い匂いにクラっとしたせいだ、そして暑さ。着慣れない浴衣のせい?綿あめに手を伸ばそうとしたのに 彼女の顎に人差し指で触れ自分の方を向かせた。



「意味分かってくれるか?」



彼女の唇は驚く程甘かった、左の頬に綿あめが少しついたがそんなのを気にしている余裕なんてない。

綿あめに隠れてキスをしてるなんて、きっと皆知りもしないだろうな。



「げんだ、くん」

「急にすまない だけど」



これが俺の気持ちなんだ。

太鼓の音が心臓の音と重なる、急に周りがピンクに包まれてしまったかのように 甘い綿あめの香りに噎せそうになりながら俺はもう1度彼女にキスをした。




20180707〔七夕〕
付き合ってないけど両想いの二人が夏祭りで、帝国のみんなに隠れてキス

ぴの子様 この度はリクエスト頂きありがとうございます、遅くなってしまい大変申し訳ございませんでした...!

こっそりキスー!?うーんうーんと考えた結果、綿あめで口元を隠してキスしたら可愛いんじゃないのかな。と思い こんな感じに仕上げてみました、いかがでしょうか?私はかなり気に入っております...!

そして コメントまでありがとうございます、今後もぴの子さんがキュンとするような作品書けるように頑張っていきますね。

次回のリクエスト募集は12月ですが、またどうぞ 宜しくお願い致します。改めまして ありがとうございました。平成最後の夏を楽しみましょー!