肝試し


"雄一郎、肝試し行こう"


彼女からのメッセージに眉間に皺を寄せた、断わろうとしたら続けて送られてきた"雄一郎来なかったら一人で行くからねー"というメッセージに溜息を吐いて 明日人が携帯に夢中になってる隙に木枯らし荘を抜け出した。

彼女の待つ近所の心霊スポットまで ヒヤヒヤとしながら走る、なんで女の子ってこういうのが好きなんだ?



「おっそーい 待ってたんだよ」

「おい...こういうのは、遊び半分でやっちゃダメだろう」

「大丈夫 塩持ってきたし」

「...そういう問題じゃないだろ、」



キョトンとする彼女は俺の腕を掴んで薄暗くて気持ち悪い道を進む、こういう所に来たことがない俺は恐る恐る自分より小さい彼女の後ろをついていく。



「...おい、本当に大丈夫なのかよ...、」

「絶対大丈夫だからー」

「うわっ...!」


「もー 雄一郎ビビりすぎ、ただの木の枝だよ」



暑いはずのそこは随分とひんやりとしていて嫌な感じだ、俺は彼女の腕を強く引っ張って「もう戻るぞ」と強めに言った。



「...やだ!」

「今度お化け屋敷に行けばいいじゃないか」

「お化け屋敷と心霊スポットは全然違うじゃん」

「そうだが...」



怖がりな自分を隠すためにそんな事を言っている訳ではなく、もし何かあった時に責任が取れないことはしたくないんだ と言おうとしたその時...。

俺達の間を生ぬるくて嫌な風が通った。



「...おい、なんか ヤバくないか」

「ここだって よく出るって噂だもん」

「何でそんなところにきたんだ、!」

「いや、霊感ないからさー 本当なのかなって思って」



あっけらかんとそんな事を呟く彼女が急に憎たらしくなって俺は自分よりもうんと小さい彼女を軽々と抱き上げて「強制終了だ」と言って、元来た道をダッシュで戻った。

走ってる間も俺に文句を言う彼女。



「もし、なんかあったらどうするんだよ」

「無いかもしれないじゃん」

「あるかもしれないだろ!お前に何かあったら嫌なんだ、俺は!」



彼女はそんな俺の言葉にぎゅっと唇を閉じて、黙ってしまった。









随分と走って 街頭のあるところまで来た、彼女の家はこの近く もう遅いし彼女を家まで送って俺も帰らなければいけない。

抱き上げていた彼女をゆっくりと地面に降ろせば「自分が怖いからって なによ」と悪態をつく、◎のおでこを人差し指でぐっと押したら彼女は不機嫌な顔をしてまた怒る。



「俺は確かに怖がりだけど、お前になにかあったら嫌だと思ったんだ 分かってくれよ」

「...わたしの方が年上なんだから言うこと聞いてよ」

「関係ないだろ」

「あるの!」

「喧嘩するつもりか...?なあ、」



両手で彼女の頬を包めば ぱちぱちと驚いた表情を見せる、ヒヨコみたいに可愛い唇にクスッと笑えば「なんで笑うの?」と眉間に皺を寄せ 情けない声を出す。



「明日 俺、一日フリーなんだけど ◎は?」

「...バイト休み」

「それじゃ 明日、お化け屋敷にデートしに行こうぜ」



今日の埋め合わせ それじゃダメか?と言えば、彼女は少しだけ考えて「仕方ないからそれでいいよ」と笑う。

やっぱり 彼女は笑顔が一番可愛い。



「それじゃ 明日デート、約束な」

「うん 雄一郎」

「どうした?」


「おやすみのキスもしてくれたら、許したげるけど?」



んっ と唇を俺に向けて尖らせた彼女、どこまでも我儘な彼女の頬を優しく撫でて おやすみのキスをした。



「明日のお化け屋敷は、逃がさないからね」

「...ああ 分かってる」





20180707〔七夕〕
年上彼女との肝試しデート、ビビリな万作

ポンズ様 今回もリクエスト頂きありがとうございます、また遅くなってしまい大変申し訳ございません...!

ビビリな万作と肝試しデート 上手くまとめられなくてすみません...彼は、肝試しとか止めるタイプの人間ぽいなとか思ってしまってシチュに添えてなかったら申し訳ございません。

ビビリゆえに彼女が危険な目にあったらどうしよう!と焦ってる万作くんがかけて、楽しかったです...!そして 前回のお話へのコメントありがとうございます、私もあのお話大好きなので嬉しいです。

次回のリクエスト募集は12月ですが、またどうぞ 宜しくお願い致します。改めまして ありがとうございました。平成最後の夏を楽しみましょー!