「不動さんとお付き合いしてるのよね」
最近の私は有名人。
サッカー部一軍の不動君と付き合い出したからだ、少し歩けばあまり話した事ない女生徒達が話し掛けてくる。こういうの海外ドラマでよくみる展開だな...なんてぼーっと廊下を歩いてたまに愛想笑いを浮かべていたらどっと疲れてしまった。
化粧室に逃げ込んで とれてしまった赤色のリップを塗り直す、不動君に似合うような女の子になりたくて似合ってるのかもわからない赤色のリップを買ってしまったけれど 濡ればなんだか自分が強くなった気がして気分がよかった。
ポケットに直してスカートを整えていたら反対側のポケットにいれた携帯が小さく震えた、こんな時間にメッセージを送ってくる人は不動君しかいない。ドキドキと胸を高鳴らせながら携帯を取り出せば”何処だよ”の文字...。
”今 教室の近くの化粧室”
”スグ行くから 待ってろ”
俺様な文章もカッコよくて心臓が震える、ずるいなぁ不動君は。前髪を整えて自動ドアを抜ければ見慣れたモヒカン姿が見えてきた。
「よう」
「不動君 次の授業移動じゃなかったっけ」
「ふけんだよ、ほら 行くぞ」
グイッと私の腰を抱く不動君、女生徒からの羨望の眼差しに刺されながら私は堂々と歩いてみせた。
実際はドキドキと胸を高鳴らせているだけのただの女の子だとバレたくなくて、わざとらしく不動君に微笑みかける。階段を上がった先は屋上だった。
「入れたんだ...」
「こじ開けたに決まってんだろ」
悪びれる様子もなく彼はするするっと猫のように扉の隙間を抜けていく、よく見れば扉につけられていたであろう立派な鍵は壊されて落ちていた。
帝国学園の屋上はだだっ広くてとても高い所にあるからかなんだか少し足が竦む、だけど 不動君はそんな私の手を引いて1番風が気持ちいい場所に座らせて私の事を後ろから抱き締めた。
優しい体温と少し湿っぽい吐息が首と背中に触れる、恥ずかしさに頬が赤くなっていくのがわかったけれど 悟られないように私は目を瞑った。
「あっつ」
「きょ、今日は暑いってニュースで言ってた」
「違ぇよ お前が」
耳に不動君の息がかかる。
ガムでも食べてたのか爽やかなミントの匂いにくらくらしてしまった私の顎を掴んで彼は「顔真っ赤じゃん」と笑う。
「目開けろよ」
「やだ...」
「可愛いねェ ◎ちゃんは」
鼻と鼻が触れ合う。それだけ?と驚いて目を開ければ彼は私の顎を掴んで逃がさないとでも言いたげな瞳を私に向けて唇を奪った、あつい あつい唇が私の唇を溶かしていく。
「ふ、不動くん」
「真っ赤だなァ林檎かよ」
「あんまりからかわないで...」
不動君に似合うような女の子に、カッコよく生きたいのに...私は今日も恥ずかしがり屋の不動君が好きなただの女の子だ。
20190509〔黒板の日〕
<屋上でキス/font>
百合様、リクエストありがとうございました!
悪い子不動くんに憧れて自分も少し悪い女に憧れてしまう女の子とそれに気付いて可愛がる不動君のお話を書いてみました。
これから暑くなっていきますので夏バテに気をつけて、令和最初の楽しい夏を過ごしましょうー!
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