木野さんの言葉に試合をよく観る、皆の苦痛に歪む顔 焦り 恐怖が…。私は無意識に目を逸らしていた、音無しさんも。それに対して木野さんと雷門さんが「皆必死に戦っているんだから、私たちもその戦いから逃げちゃいけないわ」と、倒れこんだ円堂君が皆の言葉に立ち上がる ドキン 胸が痛くて仕方ない。
世宇子中が水分補給をする姿を見て何かの異変に気付いたのか、木野さん達は走っていった。私はただ円堂君達を見つめてベンチに座っている アフロディと目が合い ”もうすぐ君を僕のものにできるね”と口が動く。
なんだか 今はのらない
金と権力のある男と容姿がいい男は全て私の中では獲物なのに。使えるものは使え、男を利用しろ そう決めたのは私なのに。どうしてしまったんだろう、本当に腹が立って仕方ない。
世宇子と私に対して。
試合中、円堂君がマジン ザ ハンドを習得してアフロディのシュートを受け止め 豪炎寺君と鬼道君がゴールを決めた。4-3で 雷門は勝利して…体に入ってた力が一気に抜けた、ぱっと木野さんを見ると「〇さん」と涙ぐみ私に抱き着いてきた。
「きっ木野さん…!」
「〇さん!皆…皆が勝った!」
「……そうね」
口元が緩まる、それを見て木野さんは〇さんも嬉しそう!なんて笑うもんだからそっぽ向いた。
湧き上がる歓声の中で輝く皆の姿
トロフィーの奪い合い
ちらっと鬼道君を見ると「勝ったからお前がアフロディと寝るという事はなくなったな」なんて笑って言ってきた。
「そうね おめでとう」
「ああ、ありがとう」
それと、腕すまなかったな。もう痕は消えているが、うっすらとした痛みが残っている。今まで気にならなかったけど言われてからじんわり痛んできた。
「まだ痛いわ」
「すまないな」
「嫉妬に身を焦がして暴力なんて最低よ」
楽しそうに笑う鬼道君につられて笑ってしまった、心地よいとはこういう意味かしら。
「そうやって笑えるんだな」
「…いつもこんな感じよ」
「フッ そういう事にしておこう」
私達は車に乗り込んだ、皆が楽しそうに会話する中 私だけまた取り残されたような気がしたけど いつもの孤独感はあまり感じず睡魔に身を任せた。
20131227