朝起きて、出発前の車内でおはよう と鬼道君の横に座った。ああ おはよう。と短く返ってきた挨拶に なんだかこれが日常になってしまうのか なんて、少しだけ不安を感じつつ出発までにリップを塗り直していた。
出発して何時間もかけて、だんだんと雪景色になってきた。車内も寒くなってきて私は少し身震いした。
「寒いのか?」
「ええ ちょっとね」
「これを着ろ」
自分が着ていたジャージを私に渡す鬼道君、それじゃ 鬼道君が寒いでしょって言うと新しいジャージを出した。
「新しい方くれれば良かったのに」
「俺の匂いをつけとこうと思ってな」
「…馬鹿じゃないの」
ほんのり自分の香水に混じって、鬼道君の香りがした。意識してしまうと ドキドキしていまう。これじゃ、貴方の思うつぼね。口角を上げてるに違いない鬼道君を見たくなくて、私は前を向いた。
急ブレーキがかかり、キャラバンが停まった。人影が見えるという古株さんの声。うっすらと見える 人影。遭難してるんじゃないかという事になり大惨事になりかねないので円堂が車内へ招き入れた。
真っ白な雪とそう変わらない、白い肌を小刻みに震わせながら マフラーから雪をぽたぽた落としながら 入ってきた同い歳くらいの少年。
「寒いの?」
「あ、うん 大丈夫…」
「どうしたの?」
◎を見てぽかんとしている、その少年は 俺のことなどお構い無しに ◎の手を握った。
「可愛いね、君 少しだけ暖めてよ」
「え、えぇ いいけど」
にこりと、大半の女子が好きであろう 爽やかな笑みに俺は腹が立っていた。少しの事ですぐに 嫉妬してしまうなんてな。
20180225