驚きの声が上がった白恋中の教室にて、先程の綺麗な男の子が入ってきた。なんだ 彼が吹雪士郎...。だとしたら 先程見えた熊の後ろの影は やはり...。まず、先に声をかけたのは 円堂君だった。
「吹雪士郎ってお前だったのか?」
「お前が熊殺しか!?」
あはは ガッカリさせちゃったかな?少し困ったように笑う吹雪君、ちらっと 目が合った私に「やぁ また会ったね」って にこにこ近寄ってきた。吹雪君が思うような人物像じゃなかったことを快く思わない染岡君は、怒って 教室を飛び出していった。
「あれ...なんか怒らせちゃったかな...」
「ごめん!」
「気にしないで」
「吹雪君 少し時間いいかしら」
瞳子監督の 大きな瞳が吹雪君を見つめている。
「◎さん!流石です*!絶対吹雪さんに好意抱かれてますよ*!」
「音無さん...そんなこと、当然よ」
私と鬼道君が仲良く(見えているのだろう)しているからか、やたらと私の横にくる 音無さん。鬼道君の妹にしては人懐っこくて 明るくて育てる親が違うとこんなにも違うのか なんて考えながら歩いていた、ら。「わ!」 ずるっと 足を滑らせた音無さんが咄嗟に私の腕を掴み 二人してバランスを崩した。
「気を付けて、階段は滑りやすいから」
ニコッと王子様のようなほほ笑みを浮かべて私と音無さんの身体を支えてくれたのは、吹雪君だった。「ありがとうございます...!」ほんのりと赤くなった頬で お礼を言う音無さん。
「ありがとう、吹雪君」
「当然の事をしたまでだよ」
軽く 私よりも白くて冷たい吹雪君の指先が 私の指先に触れた。その時、ザザザと大きな音をたてて 上の屋根から雪が落ちてきた。その音と共に目を見開 く 腕を掴まれた。座り込む吹雪君に引っ張られバランスを崩して少しだけ吹雪君の肩のあたりにあたまがぶつかった、白い生暖かいマフラーから 人の匂いを感じた。ガクガクと震える吹雪君、少し下を見ると鬼道君が怪訝な表情を浮かべていた。そんな鬼道君に意地悪したいところだが 吹雪君の震えは尋常ではなく 私の腕までも震えていた。ゆきんこのような女の子が ふわっと吹雪君の背中を撫でて 優しい声で大丈夫だよと言った。
「屋根の雪が落ちてきただけだよ」
「な、なんだ...屋根の雪か...屋根の...」
虚ろな表情で屋根を見上げ、ゆっくりと立ち上がる吹雪君。こういう顔 どこかで見たことがあるわ...思い出せないけど。
「これくらいの事で驚くなんて 意外と小心者なのね!」
「いやぁ...あは、は」
「大丈夫?」
「あ、うん...ごめんね 巻き込んで」
マフラーに私の赤い口紅が少しだけついてしまっていたので、色っぽいこと1つや2つ言いたかったが 吹雪君の表情を見ているとできなかった。
変な私。
20180228