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「鬼道君 少しだけイラッとしたでしょ」



楽しそうな小さな笑い声が聞こえた。雪合戦を終えた俺の元に少しだけ 身体をくっつけて顔をのぞき込む〇。



「あれは わざとか?」



自分でも驚くほど、少し不機嫌な声が出てしまった。ふふと少し鼻で笑いながら俺の腕に自分の腕を絡めてきた。



「あれは、吹雪君が私の事を抱き寄せただけ」

「...どうだかな」



手に入っている様にみえて全然遠い所にいる〇。このままだと 俺のモノになりたくないコイツは 吹雪の元にいくに違いないだろう。そうやって俺が嫉妬するのを見るのが好きなのだからな。

嫉妬させるのが好き?

なんだ、結局 〇は俺に



「〇」



皆から見えるかもしれないそんな場所で、俺はキスをした。遠くで監督の声が聞こえ 俺は唇を離す。一瞬 少し目を細めて 溶けた顔をした〇の表情を俺は見逃さなかった。



「望んでいるんだろう 俺にこうされるのを」


「...自惚れないで」











悪く笑って私を置いて鬼道君は先に皆の元へ戻っていく。残された私は不意にされたキスの余韻を、消そうとしたが 消えなかった。

段々と毒されていると気付いた鬼道君に負けたくないのに 錆び付いた恋心というものが 動き出したのかもしれない。私としたことが 本当に情けない話。ひらひらとマントを揺らしながら歩いていく鬼道君の背中を 少しだけ眺めてから、私もグラウンドへと向かった。



「吹雪君の実力を見たいだけだから、好きにしていいわ」



相変わらず表情の読めない瞳子監督を見ると少しだけほっとした私、そうよ 私もこうしていないといけない。軽く息を吸って 吐いた。もう試合が始まるようだ。





20180228

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