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「吹雪の事が好きならば、俺は身を引く。だが 俺の事が好きだろう...違うか?」



青いゴーグルがぐんと、暗くなった雪原の中ちらちらと光っている。こんな雪に囲まれた不愉快なほど寒い場所にいるのに、私は 体温が上がっているのが分かる。



「自惚れないでって何回言わせるつもりなの?」

「お前が 俺に好きと言うまでだ〇」

「私ね 体だけの関係がいいのよ分かるかしら?分からないわよね」



苛立ちを隠しきれずにいた。サッカー部なんかに出会わなければ、目の前にいる鬼道君にも出会わなかった。「いつまでも、そんな風には生きてはいけないだろう お前も分かってるはずだ」なんて 見透かしてくるのも腹が立つわ...。



「俺なら 〇、お前を幸せに出来ると思うんだがな」

「...もうやめて頂戴」

「前みたいに ゲームしてた方が楽なんだろうが、もうそんな お互い特をしないことはやめようじゃないか 〇...いや」





名前で呼ばれたと同時に、私の手を握り 白恋中の方へと歩く。冷たくなった手と手を重ねると暖かくなるのを感じた。「鬼道君が先に好きって言えばいいのに、言わないのはどうしてかしら?」そんな言葉言わなければきっとやり過ごせていたはずなのに、私は 今寒さと本心を暴かれた恥ずかしさで おかしくなっている。



「俺が先にいえば、お前は逃げるだろう それくらい分かる」

「好きなんて言葉 使いたくない」

「言葉じゃなくでいいのだがな」



校舎の明かりが見えてきた、皆は校舎の方にいるらしい。私は鬼道君に キャラバンへ乗せられた。毛布を包み込むように かけられて私達はいつもの座席へ。



「寒くないか?」

「...ええ」



ゴーグルを外して私を見た 鬼道君の赤い瞳。それは、初めて見た日と変わらないくらい 綺麗な色だった。この目に惹かれたことを後悔しながら 私は鬼道君の頬に手を伸ばした。



「さっきの言葉 正直に認めるわ」



自分でも身震いするほど、簡単に出てきた敗北の言葉に 鬼道君は意地悪く笑うと思ったが 優しく微笑んだ。そんな顔、見たこと無かったのに 本当にずるいわよね。



「やっと認めたか」

「うるさいわよ 鬼道君」

「◎ 好きだ 心から」



こんなに真っ直ぐな言葉で好きと言われるのは初めてで、私は どうしたらいいか分からなかった。



「キスして、よ」



空気に耐えれなかった私は自分のペースに持っていこうとしたが... おでこにキスをされて頭を撫でられた、なによこれ。急に彼女扱い...って 恥ずかしさに何も言えなかった。



「校舎に向かおう もう食事の時間だ」



温かくなった手で私のまだ冷たい手を握り、鬼道君は笑った。ドキドキと今まで感じた事ないくらい心臓が早く動いていて慣れないことをしたから きっと死んでしまうんだと思ったが 私は鬼道君の手を少しだけ強めに握り締めた。






ゆらりと 揺れる白いマフラーには気付かずに。





20180228


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