「スノボ...?」
目を疑った。昨日1日寝ていた時に何があったのか、サッカーではなく スノボをしている皆を見て まだ少しだけぼーっとする頭で考えていた。「あ、〇さんは昨日見てなかったもんね...吹雪君が教えてくれた 特訓方法なのよ!」と木野さん。成程。
特訓...?
「すごーい!」
「みんな避けるのが上手くなってますね!」
「それだけスピードに慣れてきた、早い動きの中で周りが見えてきたって事ね」
「...本当にスノボで特訓になってるのね」
本当に私にはよく分からない世界だが、でかい雪玉を簡単そうに避けていく皆。私は ひらひらと強く靡くマントをただ見つめてた。
「〇さん!私達はそろそろ学校に戻って 晩御飯の準備と洗濯物!しちゃいましょう!」
木野先輩と夏未さんは、練習見ててください!って...私達二人でやるつもり...?
校舎へ向かう道、音無さんが可愛らしい色の唇を動かしてこう言った。
「お兄ちゃんと...付き合いました...?」
「...どうして、そう思うの?」
「いやー お兄ちゃん嬉しそうなので...しかも、◎さん ずっとお兄ちゃんのこと見てたし...!」
聞かせてくださいよー!と急にキャンキャンと吠える音無さん。私はこういう話が大の苦手なのよ。
「別に...そんなんじゃないわよ」
「えー そんなぁ 教えて欲しいのにお兄ちゃんとのこと」
「...鬼道君が好きなのね」
「大好きですよ!お兄ちゃんカッコイイし頭もいいしサッカーもうまいし...それに、痛みを知ってる人だから 他人にとても優しいんですよ」
少し照れ臭そうに笑う音無さん。
なんだか、私まで 恥ずかしくなる様な 兄妹愛を見せられてしまった。
「お兄ちゃんは あまり甘えれる人が居ないから、◎さん...!お兄ちゃんを宜しくお願いします!」
それじゃ!と、自分で言ってて恥ずかしくなったのか 凄い勢いで食堂にダッシュして言った音無さん。そんな事を言われると 益々 ぶち壊してしまいたくなる。こんなことを考えてしまう私は、おかしいのだろうか。
晩ご飯の支度の為、私は音無さんが向かった食堂へと足を進めた。
◇
2日が過ぎた、今日もまたスノボで練習している皆を一番高い所から見ている。マネージャーとして、私は必要最低限な事はしているが 私の存在はここでは必要ないんじゃないか。と、考え出していた。
今日までの2日間、私達を見て嬉しそうに笑う音無さん。気持ち悪いくらい優しい鬼道君。いつも通り明るくて太陽みたいな他のみんな。
そろそろ、刺激が欲しかった。
「皆、サマになってきたと思わない?」
雷門さんがいつの間にか現れた吹雪君に問いかけていた、私の横に立ってる吹雪君は私を見てニコリと笑った。
「うん!想像以上だよ...!」
「...私も、彼らを率いてまだ日が浅いけど彼らは打てば響く選手達よ。それもこっちの想像を遥かに超える勢いでね...!」
いつもは褒めない瞳子監督が。彼等に優しい眼差しを向けてた、珍しい事もあるものね。ちらっと、吹雪君を見ると 私に「今日も綺麗だね」と耳打ちしてきた。
「当たり前よ」
「はは、僕 君みたいな女の子好きなんだよね」
肩を抱かれて私は、何だかとても悪い事がしたくなってしまった。ちらりと 下に居る鬼道君を見たら、またあの日みたいな顔をしてた。
怒らないでよ鬼道君。
これはゲーム。
20180306