「我等はエイリア学園ファーストランクチーム イプシロン、地球の民達よやがてエイリア学園の真の力を知るがいい」
妖しい低音が辺りに響き、やがて消えた。なんなのよ...また 新しい敵が現れて落胆をしているのは私だけではないようだ。
「大丈夫か、◎」
なんで貴方がそんなに申し訳なさそうな顔をするのか。
「鬼道君のせいじゃないでしょ」
「そうだが...」
「巻き込んで悪いと思ってるのなら...早く倒して、私を帰らせて」
ああ 分かった。
そう言って私の方をぽんと叩いて、キャラバンの方へと歩いていく鬼道君。
「あーあ お預けになっちゃったね」
「...吹雪君」
「僕、諦めてないよ」
ふふと、女性的な微笑み方で私を見て そしてじゃあまた後でねと耳打ちされた。どうして...こんなに、鬼道君のことが頭から離れないのかしら...腹が立つわ。今日中に何とかしなければいけない。
◇
「すぐ漫遊寺に向かうわよ!」
瞳子監督が買ってきてくれたジュースを片手に返事をする皆、次は京都...本当に勘弁して欲しいわ。だけど、今夜がチャンスというとこだ ちらりと吹雪君を見ると 同じ事を考えていたのか にこっと笑いかけられた。
そう、今夜 鬼道君に感じてるこの想いは紛い物だって証明してみせる。私は弱い女にだけはならないから。キャラバンに乗り込み、もう暗くなってきた街並みや空を見た。
◆
もう既に真っ暗だった、北海道から京都までの行き道の途中 古株さんが仮眠をとるために停められたキャラバン 僕と◎ちゃんだけが起きていた。いや...多分鬼道君も起きているかもしれないが 毛布越しに寝息を立てているような気がするので まあ大丈夫だろう。
瞳子監督に、手洗いに行くと伝えて ◎ちゃんと僕は外に出た。
「やっと、二人になれたね ◎ちゃん」
「そうね 今日なら邪魔も入らないわ」
茂みになっている所にベンチがあったからそこに腰を掛けて ◎ちゃんの綺麗な黒髪に触れた 柔らかくていい匂いがする。毛先でクルクル遊んでいたら ◎ちゃんが口を開いた。
「ねえ、キスしましょうよ」
鬼道君に見せてる目は、流石に僕にはしてくれないんだね。まあ いいんだけど、そっと顎に手を添えて 唇を親指で撫でると 一瞬だけ瞳が揺れた。
それは 嫌だって、反応だけど?
気にせずに僕は 唇を押し付けた。
「ん、吹雪君...」
僕が舌を入れようとすると、ばっと離れていき なんだかとても嫌そうな顔をされた。あれー君が誘ってきたのになぁ。なんだかんだ言って、君が鬼道君の事が好きでたまらないって 見てたらわかるけどね。そんな彼女に嫌がらせするように もう1度顎を固定して唇をつけた。
ぺろっと下唇を舐めて ゆっくり離すと、それと同時に瞳子監督の声が聞こえた。「あーあ、邪魔が入ったね 今日も」そう言えば「...そうね」と あ、今安心したね。◎ちゃん。
瞳子監督に「◎ちゃんが 気分が悪そうだったので外で休んでました」と言うと 見透かしたような目をして短く「そう」と言ってきた。
怖いなぁ 大人の女の人って。
「◎ちゃん 僕は君を奪うよ」
鬼道君からね
反応を見たかったけど、ぷい と顔を背けられた。あーあ 鬼道君が羨ましいなぁ、僕。
染岡君の横の席に戻って唇に残る感触を確かめて、眠りについた。
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