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京都の朝。

ぱっちりと目が覚めて...んん っと伸びをして横を見れば、腕組みをして窓の外を見ている鬼道君。



「おはよう 鬼道君」

「起きたか、おはよう」

「京都...久しぶりだわ」



市街地の近くにキャラバンを停めて、公園の水道で歯磨きと顔を洗った 皆朝にぴったりの爽やかな顔をしている。「朝食をとった後 漫遊寺へ向かうわ」いつも通りキリッとキメている瞳子監督の声、私達マネージャーはキャラバンへ戻り制服に袖を通した。ふんわりと いつも木野さんが洗ってくれているから柔軟剤のいい匂いがする。



「木野さん」

「どうしたの?〇さん?」

「...いつも、洗濯任せてしまってごめんなさいね ありがとう...」


「......〇さん!」



パァっと太陽のように笑う木野さんに、その場にいたみんなが嬉しそうに笑った。...少し歩み寄る努力も必要なのかもしれないって 思ったのだけれども 慣れないことはするもんじゃないなと、私は「...先に出るわ」と言い残してキャラバンを降りた。










漫遊寺中学に足を踏み入れた、荒々しくぽっかりとあいた穴があったが...周りにいる生徒達は気にもとめず 穏やかに過ごしている。まあ、校舎に被害がないからかしら...普通なら通ってられない状況だと思うのだけど...。



「とにかく...サッカー部を探そうぜ!」


「サッカー部なら 奥の道場みたいだよ」



どうもありがとう
と、いつもの爽やかな笑顔で 芋臭い女の子2人を悩殺する吹雪君の姿。



「また何かあったら宜しくね」



ちらっと 私の目を見て、笑いかける吹雪君。気まずさに 目を逸らすとそれに気が付いたらしい鬼道君が 私の手を握った。



「...鬼道君、」

「すまないな 俺はどうやら、嫉妬深いらしい」


「恥ずかしいこと言わないでよ」



もう一度だけ吹雪君を見ると、彼の口元だけがニンマリと笑っていたが 私に向けられた瞳はギラギラと光っていた。



「◎ お前は俺のものでいてくれ」



少しだけ、背が高くなったような鬼道君の事を見上げて 私は小さく笑った。


道場にそろそろ着くみたいだ。




20180315

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