ほんのり赤い廊下、蹴球道場と書かれた場所を見つけ 勢いよく走り出した皆が次々と転んで山のように上に被さっている...。
まあまあ激しい音が聞こえたので、結構いたそうね...鬼道君の横にいて良かったわ。
「もう少しで 巻き込まれるとこだったわ」
「そうは させないさ」
「なんですかなんですか!?お2人さん...お熱いですねぇ...!」
ニヤニヤと意地の悪い顔を見せる音無さん。
「やめてよ」
「春奈...」
「ふふふっ 皆さんには言わないから大丈夫ですよー」
皆さん大丈夫ですかー??と私達の横を通り過ぎて転んだ子達の側に駆け寄る音無さん。
「...鬼道君の妹って感じね」
「そうだろうか?」
「何喜んでるの」
音無さんの事になると照れ笑いをする鬼道君に、呆れて笑ってると...きゅっきゅっと 木野さんの小さな手がみんなが転んだあたりの床を触った音がした。
「これってワックスじゃないかしら」
「うっしっし!ざまあみろ、フットボールフロンティアで優勝したからっていい気になって...!」
草木が多い茂るそこから現れたのは、蟹のような髪型をした小柄な少年。その手には ワックスを握っていて...血の気の多い塔子が声を荒らげた。
「お前!!よくもやったな!!...あっ!待て...ぇっ!?!?」
どかーーん と景気のいい音がして、塔子の姿が消えた。...落とし穴?かしら。いってててと塔子の声が聞こえて 小柄な少年は塔子を煽るかのようにお尻をフリフリと揺らして 舌を出している。なんて、下品な子...。
「木暮ー!!!!」
と 怒った声が聞こえて、木暮と呼ばれたその小柄な少年は一目散に走って逃げていった。台風のような子だったわね。
「まったく、しょうがないやつだ...!ちょっと目を離したらすぐにサボって」
「...っ、いたたた」
「大丈夫ですか!?」
「へ...!?あ、ああ大丈夫大丈夫...このくらい...!」
パシッと手を鳴らし、ひょろりと長いバンダナの少年は 私達にこくりと頭を下げた。
「申し訳ございませんでした、うちの部員がとんでもないことを致しまして...!」
あいつがサッカー部!?と、皆の驚き声。
「周りはみんな敵だと思い込んでいて...」
木暮と呼ばれた少年の、荒んでいる生活態度を聞いて なんだか不安になっている みんなの顔。...まあ、少々 やんちゃ過ぎるわよね。
「かなり性格歪んでるなぁ...」
「でも、どうしてみんなの事信じられないのかしら...?」
垣田と名乗った少年の口が、重苦しく開かれた。
「木暮は小さい頃 親に裏切られたようで...」
「え、親に...??」
眉間に皺を寄せて驚く音無さん。その顔を、鬼道君は じっと見ていた。
20180315