銭湯に着くと偶然青の暖簾の隙間から男の子達が出てきた、ホカホカと火照ってる顔をした 男の子達は私達に気が付き軽く手をあげた。
「お前達これからか?」
「ええ、やっと お皿洗いが終わったから」
バンダナを外した円堂君はいつもより大人びて見える、木野さんと雷門さんは 嬉しそうな顔で話をして 誰が見ても好きって分かるのに気が付かない円堂君は凄いわよね。
山の方だからか夜になると寒い、ぶるりと身体を震わせたら腕にしがみついてた音無さんが私の体を摩ってきた。
「ささ!早くお風呂行っちゃいましょう!」
「そうね、風邪ひいちゃうわ」
「◎、春奈 しっかり温まれよ」
「親みたいな事言わないでよお兄ちゃん!」
クスクスと本当に楽しそうに笑う音無さんが、ぐいっと私の腕を引っ張り 赤暖簾の隙間をくぐった。一番後ろに居た 吹雪君はいつも通りの笑を浮かべ 私を見てる、その視線を遮る 鬼道君の口角を最後に ほかほかと湯気の満ちた脱衣所に入った。
脱衣場の隅の方にある昔ながらのマッサージ機に 座りウトウトする塔子を見つけた。手にはしっかりと牛乳が握られていて 呆れた顔で雷門さんが塔子の肩を叩いて起こした。
「もう!貴女ったら 風邪ひいちゃうわよ!」
「...ん?あれ、?私 寝てた?」
「もー 寝惚けてるのね?ほら、髪の毛乾かしてきたら?」
雷門さんと木野さんに腕を引っ張り起こされる塔子は、練習で疲れているのがわかる ぐにゃりと柔らかい身体をフラフラ動かしながらドライヤーのある洗面台の方へ向かった。
「塔子がまた寝ちゃう前に 入ってしまいましょう」
パサッとブラウスを脱ぐと 薄紫色のブラジャーが露になる、ホックを外すと...3人がギョッとした顔でこちらを見てきた。
「なに?」
「いや、大胆に...脱ぐなって...」
「これから お風呂入るんだからいいじゃないの」
バスタオルでも巻くつもりなのか、別に女同士の裸の付き合いなんてものはした事ないけど これは恥ずかしい事じゃないでしょ?このお嬢さん達は 何を照れてるのか。
「ほら、早く脱いで入りましょう...それとも 私が脱がしましょうか?」
「◎さん そんなキャラでしたっけ!?自分で脱げますよー!」
ぎゃーと騒ぐ音無さんがコソコソ後ろを向いてブラウスを脱いでる、下に着た薄い水色のキャミソールにはほんの少しレースが装飾されてる。
目線をずらして、木野さんと雷門さんを見ると 恥ずかしそうに背中合わせにブラウスを脱いでた。変なの...私はスカートとショーツも脱いで 皺にならないよう畳みロッカーに入れた。
タオルとシャンプーなどが入ったカゴを手に 湯気で篭って中が見えない浴場の扉をスライドさせた。
▽
お風呂から上がるとまた塔子がマッサージ機で寝ていた、次は飲みかけのフルーツ牛乳を手にしていて 髪を乾かし服を着替えてから 彼女を起こし5人で漫遊寺中学へ戻る。何が悲しくてホカホカに火照った身体を 冷気に触れさせてしかも階段を登らないといけないのか...ゼーハーと塔子以外の私達は息が荒くなる。
「なんだー?皆 体力ないね!」
「はぁっ、下りはよかったんだけど 塔子明日絶対イプシロン倒してちょうだいね...またこの坂を登るのは嫌よ...」
3本目のコーヒー牛乳をごくごくと飲みながら塔子は楽しそうにぴょんぴょん跳ね階段を駆け上がる。
「もう無理です...!」
「音無さん ほら」
肩で息をする音無さんに手を伸ばせば嬉しそうに繋いで、二段飛ばしでジャンプをする。後 もう少しで 門を潜れる。
「えへへ、◎さん お姉さんみたいです...!」
「気持ち悪い事言わないでよ」
「えー そんな事言って 最近優しいじゃないですか!」
「たまたまよ」
ほら、早く戻ろうぜー!
と叫ぶ塔子を先頭に私達は無い体力を振り絞って、門の前に来た。門の近くに止めてある 車の側で 男の子達は談笑していて、瞳子監督は 古株さんと何かを話している。こちらに気が付いた瞳子監督は 私達に「おかえりなさい」と軽く微笑んで、階段を降りていく。
「さ、貴女達?寝る準備をしましょう」
眠たそうな声の雷門さんは赤紫のスカートを揺らして、テントへと向かっていった。
20180330