03

そのあと、マネージャーとしての仕事内容を聞いた。マネージャーなんて私には似合わない、そう思ったけど木野さん 音無さん 雷門さんにマネージャーの仕事を教えてもらう。あーあ爪がはがれちゃうかも、なんて思っても入部届けだしちゃったんだから仕方ない。



「木野さん、今日は何をしたらいいのかしら」

「そうねぇ…次の試合に向けて今皆特訓頑張ってるからドリンクとおにぎり作りましょうか!」

「おにぎり」

「もしかして作ったことないのかしら?」

「夏未さんもはじめは作れなかったじゃない!」

「なっ…!いっ今は作れているわ!」



顔を真っ赤にして怒る雷門さん、それを見て本当に楽しそうに笑っている音無さんと木野さんの姿羨ましい反面どうせ友情など切れてしまうものなのに馬鹿みたい。

誰かが言っていたわね

男は嘘吐き、女は裏切る


私は裏切るし嘘だって吐くけど、自分が上に行くためなら周りに誰もいなくなったっていいわ。和やかな雰囲気が 私を一人ぼっちにした。











初めておにぎりを作る、普段料理をしているから別に普通に作れたけどそれを食べるサッカー部の皆の顔が幸せそうで変な感じ。なんて楽しそうに、嬉しそうに食べるのか。ふと鬼道君を見ると私が作ったおにぎりを手に取って頬張っていた。



「どうかしら、鬼道君」



私が声をかけると口に残っているものをすべて飲み込み「これは〇が?」と、そうよと言うと美味しいと返ってきた。落とすならまずは胃袋を掴むのは重要ね。今まで落としてきた男だって皆私の作る料理が好きだった、そして口説いてくる お決まりのパターン。口説いて誘いに乗ると待っているのはただ一つ、愛なんてなくても誰とでもできる。私にとって男なんて道具でしかない。



「よかったわ 鬼道君、よかったらこれも」












ずいっと差し出されたのはドリンク。ごくりと喉を鳴らして飲む。〇の目は獲物を狙うような目だ、目力とはこういう事を言うのだろう。ギラギラとした目、悲しそうな目、誘い出すような目 ころころと表情は変わらないのに目だけが語る。

その危険でいて綺麗な目に吸い込まれそうになる、が 練習開始だー!と円堂の元気な声がグラウンドを包んで我に返る。



「それじゃあ 練習に戻る」


「ええ、頑張って」



にこりと笑う〇、なんて綺麗に笑っているのに 心はここにない。そこにまた惹きつけられてしまう自分がいた。










練習後、円堂 豪炎寺と共に作戦会議をしていると円堂が叫びだして…なぜか駄菓子屋に連れていかれた。しばらくすると木戸川の武方三兄弟が出てきて参った。円堂はすっかり熱くなってしまい…いや元から熱いが…河川敷に。

そして 居るはずもない〇の姿があった。ジョギング中だったのか 昼間はおろしていた髪をあげていたので首が汗で湿っているのがハッキリ見えた。



「〇」

「あら、鬼道君達どうしたの?」



俺達の方に歩み寄ってくる、武方三兄弟が固まっている。それをちらっと見てにこりと笑う〇に赤面する、きっとこれをすると男が喜ぶことを分かっているのだろう。中学二年生とは思えない行動、言動、容姿 全てにおいて卓越した存在だな。



「そちらの方々はどちら様?」

「あぁ 木戸川清修のスリートップだ」


次の対戦相手、と付け加えるとそうと一言。近寄り握手を求める〇「〇◎です、雷門のマネージャーなの宜しく」というと三人がかりで〇の手を取り握手をしているぶんぶんと振られた腕、おかしそうに笑っている…ように見えるがきっと腹の底では男を笑っているんだろう。こんなにも気になってしまうのは それはただのチームメイトとしてか それとも。



「今から対決でもするの?」

「そうだぜみたいなァー!」


「そう…! 私、強い人が好きなの」



囁くように言う〇に顔がまた赤くなる、こいつらは木戸川のスリートップというより木戸川の3馬鹿トリオで十分だ。













「頑張っちゃうからね!」



馬鹿みたいに私にハートを飛ばし円堂君にシュートを決める。受けきれなかった球が円堂君ごと吹き飛ばす。あら、なかなか強いじゃない。


その時、久しぶりに聞いた声



「こらー!何をしてるんだお前たち!!」



二階堂さん、3か月ぶり?あの人教師だったのね。



「二階堂さん」

「!…◎さん」

「先生だったんですね…エリート校の…」



3か月前に飽きて捨てた男、もともと名前以外はなんにもしらなかったけど…教師だったの、使い道のある男じゃない。心の中で私のなかの悪魔が楽しそうに笑った





20131220

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