木戸川清修との試合が始まる
「みんながんばってー!」
木野さんたちの声援、試合に目を向けると点を入れられていた。点を入れた武方3兄弟がこちらに気付いて手を振ってくるので振りかえしてあげた。また点を取りに行った三人の攻撃をゴッドハンドという技で止める円堂君。追加点ならず、ってところね。それにしても楽しくない。
「ナイスセーブ!」「凄い気迫です!」
木野さん、音無さん
私はイマイチサッカーのルールがわからなくて面白くない。視界に入る青いマントが風にふわりふわり揺れていてそれをじっと見つめていた。鬼道君。早く 彼とキスをしてみたい。
「後、10分…」
「攻められっぱなしじゃない」
「突破口はある、鬼道はもう気づいたようだぞ」
ニィッと笑う監督の言葉に鬼道君を見ると一之瀬君、土門君、円堂君に何かを話していた。成程、天才ゲームメーカーってこういう事なのね。
「お手並み拝見」
「え?〇さん何か言った?」
「いいえ ひとり言よ」
「そう、〇サッカー見ててどう?楽しい?」
「楽しい…よくわからないの、ルールも知らないし」
そっかぁ、でもきっと後半になってきたら〇さんの胸にも熱いのがこみ上げてくると思う!にこっと笑った木野さん。本当に何なのかしら、非難されているように感じる私はおかしいの…?
木野さんから試合へと目を向ける、鬼道君と目があった。さっきの監督と同じようににぃっと笑ってボールを蹴り上げた。
少し ほんの少し体温が上がった気がした
ハーフタイム、みんなにドリンクを配る。皆深刻な顔。こんなものに何故ここまで熱くなれるのか。
「だが、やつらも後半は修正してくるだろう」
「それに、まだあの技を出していない」
「トライアングルZか…!」
「…このまま終わるはずがない」
チームがどこか暗くなる、私はドリンクの入った容器を回収しながらその会話を聞いていた。その雰囲気をぶち壊したのは円堂君。
「大丈夫さ!俺が必ず止めて見せる!!!」
いつもいつも熱くて なんだか太陽みたいな、そんな男の子。そんな男の子今まで出会ったことないわ。
いいわよね、皆。
準決勝が無事終わった。
〇を捜していると、木戸川の監督の元に居た。”ねぇ 夜空いてるわよね”口の動きで読み取った言葉に 俺はつい声を荒らげてしまった。
「〇!雷門に戻るぞ!」
「鬼道君…えぇ、すぐ行くわ」
じゃぁと監督に告げて俺の隣に並ぶ、ふわっと香水の匂いがする。
「何を話していたんだ?」
「昨日久しぶりに会ったから、今日食事でもいかがですかってお誘いしていただけよ」
「そうか」
「鬼道君もしかして 妬いているの?」
くすっと笑い俺の前に立つ。首を傾げて目を細める、まるで誘っているかのように。
「その手には乗らん」
「その手って?」
「言葉巧みに騙して、身体で取り入る」
「まるで 悪女だ」
そう言って俺は〇の目を見る
「流石…天才って怖いわね、だけど私は貴方を落として見せるわ」
白い歯をのぞかせ笑う
「ふっ 俺はそんなに甘くない」
「あら 楽しめそうね」
それじゃぁ 先行くわね、そう言って円堂たちの元に向かっていった。残されたのは〇がつけていた香水の匂いだけ、後は体中をぞくっとさせた〇の言葉。
サッカー以外にこんなに楽しい思いをさせてくれるなんて、すごい女だ。
20131220