※暴力表現有り
「その下着も 鬼道クンの趣味なわけ?」
「うるさいわね さっきから」
最後のボタンを外せば下着が顔を出した、こんな事 平気なはずなのに指先が冷たさを感じ出す 熱い汗なのか冷たい汗なのか分からない。濡れているのか濡れていないのか このブラウスから感じるじっとりとした冷たさは一体何なのか...。
先程から脳裏に鬼道君の唇や瞳が 浮かんでは上書き保存されていくように、重なっていく。
「で?なにシテくれんの?◎チャン」
鬼道君の温かさをかき消したのは、瞳をブラックホールのように黒々とさせている 不動明王だ。
「貴方が脱がせたんでしょう」
「はァ? お前が脱いだんだよ」
「何言って、」
固いマットレスは埃っぽかった、背中からグキっと音が鳴るほど強く強く押し飛ばされて 私はベッドへと倒れ込んだ。大きく息を吸えば 噎せてしまいそうな程、痛みが全身をめぐる。
「鬼道クンとは どんな風にシテんの?」
「ゲス野郎」
「そんな顔で、汚ェ言葉つかえんだなァー ◎チャンよぉ」
あんまり悪い子にしてっと佐久間君がまた痛い思いして 情けなく吐いちまうかもなァ?
冷たくて 楽しげな声は私の耳元で響いた、ギシッと音を立てて ベッドにのった彼に体が強ばる。
「ナニ?もしかして キンチョーしてんの?」
「してないわよ」
「ヘェ」
「......早くしたら?」
「強気だねェ」
私の唇を乱暴に奪った不動は 少し伸びた爪で私の首を掴む、恐ろしい程無表情な彼は 私の口の中に唾液を押し流した。
▽
「...ッ、やめて...!」
大きい大きい声が出た、不動明王は首を傾げて 私の身体から離れて 心底ウザそうに私の顔を見た。
ハァハァと息が荒いのは快楽ではなくて、恐怖?何かわからないが とにかく 私は不動明王の目が見れなかった。
「泣くなよ」
「もう充分でしょ、貴方と密室に入ってたってだけで 鬼道君はダメージ受けるわよ」
「こんな 弱ェ女抱いても面白くねぇよ つまんねえの、もういいよ お前」
いつの間にかすべて脱がされていた、枕元に丸められた古ぼけた毛布で裸を隠す。震え上がる私 一体どうしたのだろうか、なんて...理由はわかっている。
鬼道君以外に触られたくない。なんて我ながら恥ずかしい理由でこんな風に涙を流してしまった。
ドアを荒々しく開けて出ていった不動「鬼道クン立ち向かえに行ってくる」と言い放つと、薄暗い廊下を歩いていった。
「終わった」
深い溜め息を吐いて、涙を止めた。
▼
響木監督からのメールは衝撃的な内容だった。影山零治が愛媛に新しいチームを作ったというもので...お兄ちゃんは拳を握り締めてわなわな震えていた。愛媛に到着して キャラバンをコンビニの前に停めて、みんなでお昼ご飯を買うことに。
「お兄ちゃん」
「春奈...」
「大丈夫?」
レタスとハムのサンドイッチを手に取ってお兄ちゃんは「大丈夫だ」と無理に笑った、そんな顔...しなくてもいいのに。
明るい話をしたくて◎さんの名前を出してみた。
「◎さんに、なにかお土産買おうよ お兄ちゃん」
「そうだな...と言っても、みかんかみかんジュースしかないな」
みかんがドーンと入っている袋と、みかんジュースのペットボトルを交互に見る。
うーん、、◎さんがみかんを剥いてるところ想像出来ない...。
「みかん食べてる◎さんなんて想像出来ないよね」
「確かにな」
クスッと小さく笑ったお兄ちゃんの顔を見てほっと一安心、みかんの袋を手に取ってレジに向かうと...外からキャプテンの大きい声が聞こえてきた。
20180427