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※暴力表現有り






「その下着も 鬼道クンの趣味なわけ?」

「うるさいわね さっきから」



最後のボタンを外せば下着が顔を出した、こんな事 平気なはずなのに指先が冷たさを感じ出す 熱い汗なのか冷たい汗なのか分からない。濡れているのか濡れていないのか このブラウスから感じるじっとりとした冷たさは一体何なのか...。

先程から脳裏に鬼道君の唇や瞳が 浮かんでは上書き保存されていくように、重なっていく。



「で?なにシテくれんの?◎チャン」



鬼道君の温かさをかき消したのは、瞳をブラックホールのように黒々とさせている 不動明王だ。



「貴方が脱がせたんでしょう」

「はァ? お前が脱いだんだよ」

「何言って、」



固いマットレスは埃っぽかった、背中からグキっと音が鳴るほど強く強く押し飛ばされて 私はベッドへと倒れ込んだ。大きく息を吸えば 噎せてしまいそうな程、痛みが全身をめぐる。



「鬼道クンとは どんな風にシテんの?」

「ゲス野郎」

「そんな顔で、汚ェ言葉つかえんだなァー ◎チャンよぉ」



あんまり悪い子にしてっと佐久間君がまた痛い思いして 情けなく吐いちまうかもなァ?


冷たくて 楽しげな声は私の耳元で響いた、ギシッと音を立てて ベッドにのった彼に体が強ばる。



「ナニ?もしかして キンチョーしてんの?」

「してないわよ」

「ヘェ」

「......早くしたら?」


「強気だねェ」



私の唇を乱暴に奪った不動は 少し伸びた爪で私の首を掴む、恐ろしい程無表情な彼は 私の口の中に唾液を押し流した。









「...ッ、やめて...!」



大きい大きい声が出た、不動明王は首を傾げて 私の身体から離れて 心底ウザそうに私の顔を見た。

ハァハァと息が荒いのは快楽ではなくて、恐怖?何かわからないが とにかく 私は不動明王の目が見れなかった。



「泣くなよ」

「もう充分でしょ、貴方と密室に入ってたってだけで 鬼道君はダメージ受けるわよ」

「こんな 弱ェ女抱いても面白くねぇよ つまんねえの、もういいよ お前」



いつの間にかすべて脱がされていた、枕元に丸められた古ぼけた毛布で裸を隠す。震え上がる私 一体どうしたのだろうか、なんて...理由はわかっている。

鬼道君以外に触られたくない。なんて我ながら恥ずかしい理由でこんな風に涙を流してしまった。


ドアを荒々しく開けて出ていった不動「鬼道クン立ち向かえに行ってくる」と言い放つと、薄暗い廊下を歩いていった。



「終わった」



深い溜め息を吐いて、涙を止めた。










響木監督からのメールは衝撃的な内容だった。影山零治が愛媛に新しいチームを作ったというもので...お兄ちゃんは拳を握り締めてわなわな震えていた。愛媛に到着して キャラバンをコンビニの前に停めて、みんなでお昼ご飯を買うことに。



「お兄ちゃん」

「春奈...」

「大丈夫?」



レタスとハムのサンドイッチを手に取ってお兄ちゃんは「大丈夫だ」と無理に笑った、そんな顔...しなくてもいいのに。

明るい話をしたくて◎さんの名前を出してみた。



「◎さんに、なにかお土産買おうよ お兄ちゃん」

「そうだな...と言っても、みかんかみかんジュースしかないな」



みかんがドーンと入っている袋と、みかんジュースのペットボトルを交互に見る。

うーん、、◎さんがみかんを剥いてるところ想像出来ない...。



「みかん食べてる◎さんなんて想像出来ないよね」

「確かにな」



クスッと小さく笑ったお兄ちゃんの顔を見てほっと一安心、みかんの袋を手に取ってレジに向かうと...外からキャプテンの大きい声が聞こえてきた。



20180427

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