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奴は 不動明王、真帝国学園の選手らしい。帝国時代の仲間がいると言った奴の顔は 手も足もどっぷりと悪に染まったような...バッドマンの宿敵 ジョーカーのようなイカれた瞳を揺らしこれでもかと唇を歪ませて俺を見た。

影山...

何処まで俺達や、サッカーを馬鹿にしたら気が済むのだろうか。



「なァ 鬼道クン、お前の彼女...いい匂いだよな」

「...なんの事だ?」

「バニラアイスみたいな匂いさせてたぜ、全身から」



◎はバニラの匂いのするボディークリームをいつも塗っている、と言っていた。教室でも イランイランを混ぜたそのボディークリームの香りをさせて 俺へと宣戦布告しにきていた...。

まさか、



「貴様 ◎に何をした!」

「おーっと、怒んなよ」



◎の名前に、みんながなんだなんだとコチラを見る。不動は楽しそうに笑って◎チャンの身体か忘れらんねぇよと下劣に笑う。



「〇さんは 家庭の事情でお母様と共にご実家に」「そんなの信じてんの、監督失格じゃね?」「...なんですって?」



瞳子監督は立ち上がり不動の目を睨みつけた、まさか 母親が絡んでいたとは。



「◎に何をした」

「オイオイ鬼道クン こんな所で大事な彼女の恥ずかしい話させる気か?」



その通りだったが、俺は今 自制心が壊れてしまっている。隣の不動明王の胸ぐらを掴み 上に跨れば、周りから制止の声が...。だが そんなもの気にしてはいられない。



「オイ 貴様、何をしたんだ...」

「聞かねぇ方がいーんじゃねーの?」


「鬼道君、その辺にしておきなさい」

「鬼道...暴力はダメだ!」



瞳子監督と円堂の声に 胸ぐらを掴んでいた手を離した、ポスッと小さな音を立てて背中と背もたれをぶつけた不動は大袈裟なリアクションで「おー いてぇ」と笑った。

◎ 何があったんだ、無事でいてくれ。


暫く無言のまま 目的地へ到着したらしい。



「お兄ちゃん...◎さんは...」

「大丈夫だ きっと」

「やっぱり、あれはお母さんじゃなかったんだ...」



春奈の言葉に 何故か市街地で会った着物の女の顔が浮かんだ、やはりあの胸騒ぎは...

暫く歩いて 何も無い埠頭に辿り着いた。暗い海から現れたのは 悪趣味な潜水艦だ、中から現れたのは 影山零治...かつて師として従えていた男は相変わらず冷たい声をしていた。◎の姿を探すも何処にも居ない。



「オイ、◎は何処だ」

「その前にさァ 帝国時代のお仲間に会わせてやるよ」



影山の後ろから現れたのは...佐久間と源田だった...。









ドアの外から大きな音が聞こえてきて目が覚めた、鬼道君達が来たのか...皺くちゃになったブラウスに袖を通してスカートをはいた。

ドアに鍵はかかってなくて、ドアノブを捻れば あっさりと重たい扉は開いた。


ずっと遠くに見える光には彼等がいるのだろうか、そういえば 鬼道君の親友達は大丈夫なのだろか...早く 彼等の元に帰りたくて 痛む体を引きずった。



「おや、無事だったようだね 〇」

「...影山零治」

「君の母親にはいい仕事をしてもらった」

「......貴方が父親になるなんて最悪」


「私ではない、まぁ 時期わかる」



グラウンドに君の大切な彼が待ってるんじゃないか?心底楽しそうに喉を鳴らして笑う彼は まるで氷で出来た作り物のようだ。

横を通り抜けグラウンドへと向かった。



「...◎?!」



鬼道君の声が聞こえたと同時に、立ちくらみを起こした私は 膝からカクンと地面にしゃがみ込んだ、◎さん!?と甲高い声を出して私に駆け寄ってきた音無さん。



「大丈夫ですか?何もされてないですか??なにかされました?!もう...!!私心配で...」

「...大丈夫よ、ごめんなさいね」



立たせてくれる?と言えば音無さんは泣きそうな顔をして立たせてくれた、支えられながらベンチに向かうと 鬼道君が眉間に皺を寄せ悔しそうな顔を見せ不動明王の方を向いた。



「お前を影山を 許さない」

「くっだらねェ だからお前は弱いんだよ」



二人は睨み合う

そして...試合の後半戦が始まった。



20180503

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