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「ごめんなさい、〇さん きちんと確認をせずに貴女を危険な目にあわせてしまって」

「...瞳子監督 謝らないでください、本当にアレは私の母親なので」



痛む体を木野さんと音無さんの間に落とし、私はベンチに座り彼らの試合を見た。前半がどんな風に進められたのかは先取点を入れられた事くらいしか分からない。昨日私のせいで殴られた佐久間君が苦しそうに立ち尽くす姿や、普段の鬼道君とは思えない程精神が乱れている彼の姿が 8ミリ映画のように ノイズまみれで脳に焼き付いていく。

私は ここに戻ってきてよかったのか。

横を見れば音無さんが がんばれ がんばれと小さい声で目の前のみんなを祈るように応援していて、奥の方でも雷門さんや木野さんが祈っていた。


いつか 円堂君が言っていた「マネージャーは勝利の女神」だって言葉を思い出した、私にもそんな風に言ってくれるなんて よっぽどの馬鹿よ 円堂くんは。











試合が終わり 影山の元へと向かった俺だったが、惜しくも 激しく爆発する潜水艦と共に不気味な色をした海の中に沈んでいった。

ヘリコプターから 降りた俺は◎と佐久間と源田の姿を探した、救急車が停められた場所に円堂が...「鬼道...!」と少し元気の無い声で俺を呼んだ。



「悪いな鬼道、久しぶりだっていうのに 握手もできない」

「かまわない」



佐久間の手のひらと手首あたりを柔らかく握る、心の傷が身体中に出てきてしまったかのように 佐久間は震えていた。



「おかげで目が覚めたよ でも嬉しかった...」



首を少しだけ動かしてこちらを向き、辛そうに言葉を続ける佐久間に 俺は「ああ 待ってる」と短く言うしかなかった。


運ばれていく佐久間が最後◎を見て、ありがとう と唇を動かしたのを見逃さなかった。



「◎、大丈夫か?」

「......大丈夫よ」



よく見れば傷や痣が見える カッと頭に血が上る、影山...不動...アイツらを許しはしない。だが ◎がされた事をどうしても どうしても知りたかった。



「何があったんだ」

「落ち着いたら話するわ」

「ダメだ 今全部言うんだ、◎」

「嫌よ」

「◎!」
「鬼道君!落ち着いて、彼女だって大変だったのよ!」



その声に ふと我に返る、いつの間にか◎の傍に駆け寄り ◎を抱き締めてる木野に「すまない」と言い残し 俺は円堂に「行こうぜ」と連れられてキャラバンへと戻った。











「〇さん、大丈夫?」

「ええ...」

「何があったの?こんな、傷...」

「貴女が思ってるようなことはされてないわ」



半分嘘だ、途中まではされた。
乱暴に掴まれたりして爪で出来た傷や痣ができているが 最後までされた訳では無いし、私が黙っていたらその事自体無かったことになる。



「とりあえず 戻って着替えましょう、お腹すいてない?私 お菓子ならあるんだ」



木野さんは察してる、きっと。
ポケットから取り出したチョコレートは 熱でふにゃりと柔らかくなっているけど、とても優しい味がした。「ありがとう」そう言えば 私の背中を優しく撫でて「ほら 行きましょう」と押してくれた。





20180505

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