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「今度は大阪かぁ」

「敵のアジトがあるらしいぜ」

「凄いっスねぇ!乗り込んでこっちから攻撃するッスねぇ!」



早朝 一之瀬、土門、壁山の元気な声と裏腹に俺の気持ちは澱んでいた。雷門へと帰ってきた俺達は特訓へと打ち込んでいたが大阪にエイリアのアジトがあると推測した理事長達の指示により大阪へと行くことが決まり キャラバンに乗り込む。闇野や杉森の熱い思い...染岡の一時離脱...そして 全然俺と目を合わさない◎。

何があったかなんて一目瞭然だ、あの不動ときっと一線を越えてしまったのだろう。だからこうやって目も合わせられないのだと 誰が見ても分かる。



「◎、もうそろそろ話してくれないか」

「...何にもなかったわ」

「嘘を吐くな 別にお前を責めはしない、何があったかを知りたいんだ」



彼女を責めるのはどう考えてもおかしい、俺は責めるつもりなど本当にないのだが ◎は 鬱陶しそうな表情を見せて 俺に「なんにもないって言ってるでしょ」と返した。

"なァ 鬼道クン、お前の彼女...いい匂いだよな"不動のあの忌々しい言葉が頭に浮かんだ、本当に何も無いのかもしれないが だとしたらなんでこんな風に俺を避けるのか なんでそんなに傷だらけなのだ と...ここに他のチームメイトが居なければ服を脱がして全て確認できるのに。と、我ながら野蛮な事を考えてしまった。それくらい今 頭の中を掻き乱されている。



「ちゃんと帰ってこれたんだから、普通に戻りましょうよ」

「...すまないが、何があったかわからない限りは無理だ」

「どうして」

「どうしてもだ、大事な女が 母親に誘拐されて変な男に捕らわれて傷だらけで帰ってきた挙句に俺を避ける...普通に考えておかしいと思わないか?お前を大切に思ってるからこそ知りたいとは思うのはダメなのか?」



自分の右手を◎の左手の上に重ねると、彼女は小指で俺の手を少し撫で「言わないわ」 と申し訳なさそうに眉を垂らした。



「明日、明日まで待つ 話してくれなければ俺達の関係は...終わりだ」

「...どうしてそうなるのよ」

「大切だからだ」



それだけ言って俺は◎の手をぎゅっと握って名残惜しさを感じながらも離した、酷な事を言ってるのか 正解なのか間違いなのかも分からないが ただ真実を知りたいと思うのは間違いじゃないはずだと自分に言い聞かせて 腕を組み◎と目を合わせないように 窓の外の景色を見た。









「お兄ちゃんは ◎さんと捜査してよ!」



私達があんな気まずい会話をしてたとは知らない音無さんは私と鬼道君をぴったりとくっ付けて 木暮君とカラフルな世界へ走り去っていった。



「...私一人で探すわ」

「駄目だ 俺と一緒にいろ、また連れ去られたら心臓が持たないからな」

「鬼道君って本当に我儘ね 突き放すのか束縛するのかどっちかにしてくれる?」

「何度も言わせるな 大切だからだ」



私にちらりと目線を投げ掛けたと思えば、きょろきょろとカラフルな遊具を調べながら歩く鬼道君。私よりも15歩くらい進んだ先で 急に振り向いた...



「仕方の無いやつだ ほら、来い」



左手を私の方に差し出して鬼道君は「早く来い」と私を急かす、何よ...本当に。



「こんな所で手を繋いだらデートみたいじゃない」

「そんな事言いながら手を繋ぐんだな」

「貴方が手を出したのよ」

「...まあ、イイじゃないか 俺達はデートをする時間なんてエイリア学園を倒すまで無いだろうし 行くぞ」



普通に握った手、鬼道君の指が器用に動き恋人繋ぎに。その後は お互い何度も握り直して 指と指の間に汗をかかせるように手を繋いだまま、変な建物はないかと二人で探した。


じんわりと手のひらも指の隙間も汗をかいて暑苦しくなってきた頃にはもう集合時間となっていて...私と鬼道君はみんなと待ち合わせている場所まで戻る。みんなに見られるのはまずいので 離そうとすると...鬼道君は「このままだ」なんて 落ち着き払った声で私にそう言った。



「みんなに見られたらやばいじゃない」

「もう付き合ってる事知ってるぞ」

「なんですって」

「だから心配ないだろう」



少し遠くの方で音無さんの声が聞こえてるのに、私は繋いだ手を離せないまま「本当 乱暴よね」と憎まれ口をたたいた。



20180505

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