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今時こんなギャル居ないわよってくらい、ガングロで上も下もつけまつげ...薄い紫色の可愛らしい目と綺麗な水色の髪が自信満々に艶々と輝いてる。



「けっ、結婚ー!?」



馬鹿馬鹿しい。
一之瀬君ったら何処でこんな女に捕まったのかしら...第一まだ中学生だから そんな事口約束にしかならないというのに...。



「馬鹿馬鹿しいわよね 鬼道君」

「可愛らしいじゃないか」

「そう返ってくるとは思わなかったわ」



腕を組み 中の様子を眺める鬼道君、水色の髪のうるさい女に閉め出された部員達。ピシャリと閉められたドアの向こうからは 一之瀬君の悲鳴と、グラスや皿の割れる音が...。



「一之瀬...」

「一之瀬先輩このままお好み焼き屋さんになっちゃうんスかー!?」


「......そんなこと、あるわけないだろ!何が結婚だ!」



円堂君が拳を握り締めて、またドアに手をかけようとした...その時。



「ちょお、どいてーな」



次は、スラッとした綺麗めのギャルが登場した。私達はぱちくりと瞬きをして 声を上げた風丸君の方に視線を向けた。










「これで 一之瀬先輩結婚しなくて済むんスねー!!」



彼女達はCCCという 女子サッカーチームで、何故か一之瀬くんを賭けて勝負をした...。全くもってくだらない試合だわと雷門さんと話をしていたが...中々強い彼女達に私達は驚いたが、まあ 雷門中間が勝った。

一之瀬君を囲んで 勝利を喜ぶ彼等の姿に、私と雷門さんは顔を見あわせて 眉を落とした。



「ダーリンっ...!」



ハートを飛ばしながら 浦部リカと呼ばれた女の子は、一之瀬君に近付いてきた。



「あんな凄いサッカー出来るやなんて...ウチ もう一生離さへーん!」


「...このチームで、2組目のカップル誕生ってところですかね!」

「音無さん...」

「イイじゃないですか!辛いばかりの旅に、恋の楽しさがあれば...!ねっ、お兄ちゃん!」



音無さんが鬼道君の手を握って私達の方に向ける、手を繋いでいたのを皆に見られたせいで 公認カップルになってしまった。

私達は今結構大変な状況だというのに...



「そうだな、◎のおかげで 頑張れる」


「お、お兄ちゃん...!!!」

「はぁ...もう本当にやめてよ」

「いいじゃないの、〇さんったら...鬼道君に愛されてるの羨ましい!」



自分の兄に感動している馬鹿な妹 音無さんと、にやにやと笑う雷門さん、キラキラと心底羨ましそうに微笑む木野さん...そして 私が困っているところを見て意地悪く笑う鬼道君...。

ペースを乱すのもいい加減にしなさいよね。










「ココがうちらの練習場やねん!」



ステンドグラスの様な色合いの壁を抜け 一番深い部分へと降りれば...浦部リカ達の強さの秘密である遊具の下に繋がる謎の修練場に到着した。暫く 皆でそこの修練場で特訓をして、休憩...彼女達からの差し入れは 串カツやお好み焼きらタコ焼きなどの 大阪名物がズラリと並ぶ。

俺の後ろ、春奈の隣で 上品にお好み焼きを口に運ぶ◎。これだけ 甘やかす様に優しくした...流石に何があったか言うだろう。これで練習は終わりだ、きっと今頃外は 薄暗い。



「◎、ちょっと来い」

「...鬼道君」



食事の片付けをし終わった所を捕まえて、他の連中が見てない所に連れて来た。きっと コイツの事だから キスをしようとしてるんだろうとか、そんなことを考えているに違いない。



「ねぇ、キスなら 口を洗ってから...」



正解だ。もうお前の事を理解出来ている、あまりにも 俺の読み通りで思わず笑みが漏れる。



「何笑ってんのよ、」

「...それで 一日経ったぞ、聞かせてもらおう 何があったか」

「......本当に何も無かったわよ」



ドンと少し大きい音を立てて壁に手を置いたからか、逃げ場の無い◎は 俺から目を逸らした。素直に言えば いいものを。



「どうしても言わないつもりか」

「聞いて何になるのよ」

「言うんだ」

「なんにも なかったわ」



睨むように 俺のゴーグルの奥にある目を見つめた◎、首にはまだ傷が残っていて 所々に痣がある。その首にそっと触れれば 一瞬 瞳が揺れた。



「分かった」

「...やっと、諦めてくれたのね」


「ああ...」



次の言葉を言うまで、あと3秒。
口を薄く開いた。



20180508

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