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「やっぱり 彼等はあなた達の練習相手として不足じゃないかしら」

「いいえ...陽花戸中は俺達のことをよく研究しています 彼等と戦うことで俺達のこれからの課題が良く見えてくると思うんです」


「こんな試合も久し振りですからね!皆...楽しんでやろうぜ!」



皆の大きな声に自然と笑が漏れる、これは私だけでは無かったようだ。



「嬉しそうですね 先輩」

「うん...!」



木野さんの言葉に真っ直ぐと皆を見れば、木暮君と円堂君がじゃれあっているのを楽しそうに見つめる皆の姿。

眩しさに目を細めていたというのに、今や円堂君が作り上げてきた温かさに ただ笑みを零すだけになった。



「みんな試合中に見せる笑顔は久し振りだったわね」

「木野さん本当に嬉しそうね」

「〇さんだって、試合前は悪い顔してたのに...今はとっても優しい顔になってる」

「あんな試合見せられたらね」



0-0の試合はどんな結果になるのだろうか、そろそろ後半戦が始まる中 鬼道君と目が合う。

私達は少しだけ口角を上げて、彼はグラウンドに 私はベンチに向かった。









立向居君、ただの可愛い男の子だと思っていたけど 侮っていたようだ。試合中失敗してしまったが 円堂君の技であるマジン・ザ・ハンドに挑戦してみせた。

それよりもっと 私が驚いたのは円堂君が試合終わりに「マジン・ザ・ハンドお前なら絶対出来る!」と立向居君の背中を押したこと。



「木野さん達から聞いたけど、特訓してるそうよ二人で」



キャラバンでみんなのご飯の支度をしている最中に音無さんにこう言えば、練習試合を終えてクタクタなはずの立向居君と円堂君がタイヤ特訓をしている姿を思い浮かべたのか音無さんが 少し怒ったような声を漏らした。



「キャプテンは休憩って言葉をしらないんだから...!」

「まあまあ ゴールキーパーの特訓はいつも1人だから、立向居君と一緒に出来るのが嬉しくてたまらないんでしょ」



音無さんは「あんな事ばかりしてちゃ、体壊しちゃいますよー」なんて頬を膨らませながらも優しい目で笑った。


しばらく経ち、ご飯の準備も終わりというところで 立向居君がキャラバンのそばに走ってきた。



「今日はお疲れ様でした!」



洗濯が終わり食事の手伝いをしてくれている雷門さんと木野さんは食器を並べてる手を止め立向居君に「お疲れ様」と優しげな声をかけた。



「円堂君はまだ特訓の最中??」

「はい!円堂さんはまだ 新必殺技の為に特訓したいって...」


「...もう食事の時間だから声掛けてくるわ」



よろしくねと言う木野さんの言葉に返事をして、私はグラウンド近くの大きな木を探した。

うんと暗くなった空には零れ落ちそうな星が、あのどれかに彼等の星があるかもなんて言っていた栗松君と壁山君のお馬鹿な話に耳を傾けていた時を思い出した。


立ち止まり手を伸ばしてみるが、勿論掴めるわけがない。



「君の好きな星座はどれ?」



聞き覚えのない声に ビクッと肩が震えた、半歩後ずされば 赤い髪を不気味に揺らしたその少年は私に二歩近づいた。



「...誰?」

「俺、基山ヒロト 円堂君の友達だからあまり警戒しないでよ」

「円堂君のお友達、?」



見るからに怪しい彼は 私と同じ様に空を見上げた、そして 指先を空に向ける。彼の蒼白い肌と夜空があまりにも 相性が良くて、その指に見惚れると彼は薄い唇を開いて「俺も手を伸ばせば星を掴めるかもって思える時があるよ」なんて楽しそうに笑う。



「こんな時間に 円堂君に用事?」

「うん、用事は済んだよ 明日俺達のチームと戦ってほしいってお願いしてきたんだ」

「そう、」


「君は俺と良く似てる」



言い表せないような恐怖を感じる 彼は相変わらず蒼白い肌をしているし、空には零れ落ちそうな程の星が光ってるというのに 音が消えたように静かだ。



「何の話をしてるの?」

「俺と君は 自分達以外の誰かの人形としてでしか息出来ないんだ」



初めて出会った彼は、私の人生を全て見てきたような顔をして 私の横を通り過ぎた。



「ねえ、一体何者なの」

「それは きっとすぐに分かるよ」



彼はこちらを振り向かずに、楽しそうな声色を残して 行ってしまった。




20180618

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