薄暗い朝だ、みんなはそんなの気にしてない様子でウォーミングアップに励んだり 話に花を咲かせている。
こんな日は必ず 何か嫌な事がある、じっとりと背中にかいた気持ちの悪い汗を乾かすようにシャツをパタパタと動かせば 冷たい風が背中を撫でた。
「12時になりました!」
春奈の声が聞こえたと同時に、禍々しい黒が足元を覆った。
「来た!」
現れたのは 白いユニフォームに身を包んだ奴等だった、こいつ達は...?
「やあ 円堂君」
「......ま、まさか ヒロト!?」
「なんやコイツら その前の奴と違うやんか」
「エイリア学園にはまだ他のチームがあったってことか...!?」
ざわざわとし出す雷門イレブン達、俺も言葉が出ずただ 奴等の事を穴が開くほど見つめた。
「これが 俺のチーム、エイリア学園 ザ・ジェネシスって言うんだ 宜しく」
キャプテンマークを付けている円堂がヒロトと呼んだその男は冷たい深い緑の目をギラっと光らせて、こちらを見る。
恐ろしい程 感情が分からないヒロトという男と一瞬目があったが、すぐに視線は違う場所に...。
「ジェネシス...?おまえ、宇宙人だったのか...!?」
円堂を見つめる その瞳は、どこか楽しげで 寂しげだった。赤い髪の男の言葉一つ一つに困惑の声を漏らす円堂に俺は「どういうことだ、円堂」と言葉をかけずにはいられなかった。
「ヒロト...」
眉を垂らした円堂に「さあ、円堂君 サッカー...やろうよ」と、目の前の男は不敵な笑みを浮かべた。
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大変な事になった。
基山ヒロトと名乗った昨夜の少年は グランという名のエイリア学園の選手で、今日は学校を破壊しに来た訳ではなく あくまで 円堂君たちと戦いたいだなんて言い出した。
「吹雪 お前にはFWを頼む リカとツートップだ、いいですよね 監督」
「ええ 任せるわ」
「ヨッシャー!決めたるでー!」
ウキウキとはしゃぐ浦部さんに続いて 大きな声で皆を導く円堂君、試合が始まる。ミステリアスな雰囲気で 私達を困惑させたグランという少年は、そんな彼等を見て 小さく笑った。
ホイッスルが鳴ったと同時に 恐ろしいスピードであがってくるジェネシスの選手達...「なんですか あのスピード...!」頬を押さえて困惑の表情を見せる音無さん。
目で追うが 風丸君よりも速いそのスピードに、一瞬ボールが消えたように見える。グランが蹴った普通のシュートは 円堂君が血のにじむ様な努力をしてものにしたマジンザハンドをいとも簡単に突き破り、ゴールネットに突き刺さった。
そして、2回目 5回目 7回目 9回目とグランのシュートは無情に突き刺さる。マジンザハンドはまるで 決まらない、もう10点も取られてしまった。
険しい表情の皆の中でも目立ってるのは、風丸君...。
「円堂...!!!」
叫んだ声に振り向いたグランは、あんな冷たい目普通できないわよ ってくらいひんやりした視線を風丸君に向ける。
15点目が入る、ホイッスルの音があまりにも耳障りで耳に手を当てたけど全然意味は無かった。
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試合は最悪な終わり方を迎えた。
グランの流星ブレードと呼ばれる あの強烈なシュートを頭から突っ込み止めようとした吹雪は名前を呼んでもピクリとも反応を示さず、ただ痣だらけの体をグラウンドにぐったりと沈めている。
「円堂君......それじゃぁ またね、」
グランの声は少しだけ震えていた、良心というものがあるのだろうか 吹雪がシュートに突っ込みにいくなど誰も予想ができなかった事だ。「大丈夫かな」と小さく呟いたあの言葉は本心なんだろう、益々 奴等に対しての謎が深まってしまった。
立向居が呼んでくれた救急車に乗り 俺達は病院へと向かうことに、大切なチームメイトが これ以上減っていくのは俺だって円堂だって みんなだって嫌だからな。
「鬼道君」
「◎」
「...吹雪君、何ともないならいいけど」
「ああ その通りだ 少しいざこざは合ったがな、大事なチームメイトには代わりないんだ」
彼女は俺に言葉をかける代わりに 優しく腕を撫でる、そんな 仕草に心が少し柔らかくなった。
「病院へ向かおう」
「ええ、そうね」
20180702