略奪 with Jaejin 



第11話


よぎる

さっきの情景が、言葉が、何度も頭の中に蘇ってくる

「やっぱやめた!」

ノリ始めた男を退かし

私は上半身を起こした

「今日気分乗らないわ!」

なんだよ!どうしたんだよ?!と

不満げな男を残して部屋を出る

「くっそ!あいつのせいで、、」

ジェジンに対する苛立ちが頭から離れない


「マスター!ビール!」

私が入ったのは、以前ジェジンを連れてきた喫茶店

何でも出してくれる

ここに来たのは、他に行くとこがなくて

友達なんていないし

酒ならBarで飲めばいいけど、まだ開いていない

ここしかなかった

でも来なきゃよかったと今になって思った

ふと、あるテーブルに目が向く

そしてため息をついた

ここはジェジンではなく、おばあちゃんとの思い出の店だった

初めて会った場所がここ

「くっそ、酔えねぇ。マスター!もっと強いのくれ!」

酔いが回るのが遅いからとかなりの量を飲んだ


まっすぐに歩けてるんだか分からない状態で

マンションの前で見たくない顔が目に入る

チッ

「ジェジン!まだ文句あるの?!」

『違うよ!これ渡したかったんだ。』

ジェジンの手に視線が移る

ジェジンは持っていた小さな紙袋から

オルゴールを取り出した

「これ、、、」

おばあちゃんのだ

たぶん、亡くなった家族の形見

『ばあちゃんがlishaさんに持っててほしいって言ってたみたいなんだ』

なんで

私なんかに、、、

酔いのせいか動機が必要以上に激しくなった

「いらない。」

『えっ?』

「こんなのいらない!」

『なんで?』

「思い出に浸る気なんかないんだよ!」

『なんでそんなこと言うんだよ!』

「おまえに関係ないって言ってんだろ!入ってくんなよ。」

『俺を巻き込んだのはlishaさんでしょ!』

「うるせーな、じゃあもう終わりだよ!、、う、、やばい」

『え、えー?!』

「吐く!」

『ちょ、待って!』

ジェジンに抱えられながら部屋へと上がっていく







11/14


前へ次へ


目次へHomeへ感想を書く占いツクール



しおりを挟む

しおり一覧へ











ALICE+