ソルジャー君との再会




「――お前っ…!?」


神羅ビル内にて突然かかった声。振り返れば、そこにはソルジャー2ndの格好をした体格のいい男性が一人。メットを被っている為誰かはすぐにわからなかったが、かかった声に聞き覚えがあった。
しかし誰かはすぐに出てこなくてキョトン顏を向けていると、その男性はメットを外し始めて。


「…あ!」


その風貌に誰かと気づいて感動の再開を喜ぼうとした矢先。その風貌を隠していた物体がものすごいスピードで飛んできた。


「つぉっ…っ!!!」


かろうじてそれをキャッチしたものの、身体全体で受け止めた為に胸部にいささかダメージを受けた。こんなもの投げるとは一体どんな教育を受けてきたのだ。ソルジャーはメットも武器にするのか。仮にも自分は女子であるのに。


「危なっ!メット投げるとか凶器やな!!」

「馬鹿野郎お前っ…!今まで何してたんだよっ?!」


毎朝エレベーターを共にしてきたその人は、怒りとも驚きともとれる表情を向けてきた。
あれからどれほどの時間を費やしたのかは正確にはわからないが、随分会っていなかった事を思うと突然消えてしまった自分が今こうしている事に驚いていても無理はないだろう。


「心配してたんだぞ!?突然いなくなるしお前…」

「え、あははは…ごめんごめん」

「赤毛の野郎に聞いても何にも言わねーし!!」

「あ、うーん…その…」

「何してたんだよ!?」

「、ちょっとプチ家出…みたいな」


怒っているかのような彼の声色に少々怖じ気づき、身を縮こませながらそう言った。


「家出だぁ!?」


…随分長い家出だったこと。いろいろあった事を一つにまとめるのには丁度いい言葉だと思った。その言葉を聞いた彼は案の定随分長い家出という事と、何故自分に何も言わずに出ていってしまったのかという事に不満があるご様子で。ついにはその逞しい腕で首を雁字搦めにしてきた。


「いいい痛いいだいぃぃ!!!」

「貴様俺がどれだけ心配したと――」

「だからゴメンってばぁ!!」


死ぬ死ぬ。本気で死ぬ。彼は自分が女のである事をすっかり忘れてしまっているご様子だ。


「勝手にいなくなんな…!」

「!」


トーンの落ちたその声は、どこか悲しげで。彼を見上げればその瞳が揺れているのが見えた。きっとその心配は本気の心配で。自分が思っていたよりも、彼はずっとそれを気にしていて。


「ごめん…な?」


少し真剣にそう言えば、彼は視線をずらし納得したのかしていないのか急にその腕を解いた。


「っわかりゃいいんだ」

「?」


そっぽを向いてそそくさと歩き出してしまった彼。あれ。やっぱりまだ怒っているのだろうか。


「…また、明日!」


とりあえず、明日の自分の存在を知らせておく。前と同じ日常を。毎朝の恒例を。また明日から、始めませんかと。

彼は振り向きもせずに、右手を高々と挙げて返事をしてくれた。…それどっかで見た事あるなと思いつつ、とりあえずキュンっと心臓が鳴く。


「…くそ、反則だ」


挙げた右手をそのまま後頭部へ持っていきガシガシと頭を掻く彼のその呟きは、彼女には聞こえなかった。



back