「――ねぇ、シンバは好きな人とかいないの?」
「…え?」
それはクラウド達の元へ戻ろうとした時のこと。
「いないの?」
「う〜ん?好きな人かぁー…」
ふいにエアリスにそう問われ、シンバは少し考えてみた。好きな人。好きな人――
…すると、頭に浮かんだのは金髪のチョコボ頭。…あれ。なんであの人の事考えてしまったのだろう。違う。そんなんじゃない。シンバはクラウドの顔を思考から消した。
「ね?ね?いないの?」
なんだかエアリスがウキウキしている。すごく楽しそうなその様に、やっぱりエアリスは恋話が好きなんだなとシンバは思う。しかしそんなにウキウキされてもエアリスの望む答えが自分の口から出そうにないのが、残念なところだ。
「…おらんかなぁ〜」
「いないのー?!」
…ごめなさい。ガッカリするエアリスを見てシンバはなんだか申し訳なくなった。
「レノは?」
そう言われてシンバは一瞬森での出来事を思い出したが、思いっきり頭の奥へひっこめた。…ない。レノはない。好きだけど、きっとそういう類のモノではない。
「ホントに〜?…じゃあクラウドは?」
先ほど思い浮かべたクラウドの顔が再びシンバの中に現れ、今度は引っ込めずにちょっと考えてみることにした。
クラウドの事だって確かに好きだとは思う。…でも、違う。クラウドにはティファがいる。自分の出る幕じゃない。だから対象には入れてはいけない。そうやって今までずっと自分に言い聞かせていた。だから、クラウドの事はそういうんじゃないんだと。
「…好きやで?けど、」
「けど?」
「…そういうのと、ちゃうかな」
「…な〜んだ。そっか。シンバ可愛いのにね」
いやそれとこれとは関係なくないか。つうか自分別に可愛くねえし。とシンバは心の中でつっこんでおいた。
しばらくすると、こちらに向かって歩いてくるクラウドとティファ・レッドの姿が目に入った。きっと飛び出した自分たちを探してくれていたのだろう。
「あ、クラウド達――」
エアリスはバツが悪そうな顔をしながら、そちらに向かって歩き出していた。
「……好きな人、かぁ」
シンバはそのあとで小さく、エアリスに聞こえないように呟いていた。