「――で?何があったの?」
神羅屋敷を調査しながらエアリスはクラウドも調査していた。コスモキャニオンでの二人―シンバとクラウドの様子がえらい事になっているのをエアリスは見逃さず、そして絶対クラウドをとっちめてやると心に誓っていたのだ。
「…何もないと言っているだろう」
シラを切り続けるクラウド。
「嘘よ、嘘。あの時の二人とーーってもいい感じに見えたもの」
疑い続けるエアリス。
「そういうんじゃない。…ただ、」
「…ただ?」
「……いや、何でもない」
…コノヤロウ。白状しないつもりだな。エアリスの中で何かのスイッチがonになった。
「いつまでそうしてるつもり?」
「…何がだ」
「早くしないとシンバ取られちゃうわよ?」
「…俺には関係ない」
「あーーーーーそうですか。…じゃあ、シンバにはレノを勧めておこうかな」
ピクッと一瞬クラウドの動きが止まった。エアリスは、それを見逃さなかった。
「…どうしようかな〜?」
腹黒エアリスが開花した。くそ。やっぱり俺はエアリスの手の上でコロコロ転がされるのか。エアリスには一生敵わないのだろうか。…いや、諦めるな俺。頑張れ俺。負けるな俺。クラウドは意気込みを入れるようにあからさまに大きくため息をついた。
「…アイツはダメだ」
「どうして?」
「…タークスだからだ。敵を勧めてどうする」
ああ言えばこういう。まったくクラウドは素直じゃない。この頭の硬いチョコボなんとかならんのだろうか。
エアリスもまた、あからさまに大きくため息をついた。