44.5



「――お早いお帰りね?クラウド」


仁王立ちで亀道楽の扉前、待ち構えていたのはエアリス。仁王立ちの割にはその顔に満面の笑みを浮かべている。…あぁ、そんなに期待しないで欲しい。クラウドは覚悟を決めるかのように一つ深呼吸をした。


「シンバは?」


てっきりラブラブになって帰ってくるかと思っていたのに、一緒に出て行ったハズの彼女の姿がどこにも見当たらない。


「シンバをどこへやったんだ?」


変な言い方をするなヴィンセント。クラウドは少々言うのを躊躇ったが、二人がまじまじと見つめてくるので口を開かざるを得なかった。


「…ユフィと一緒に置いてきた」

「なにそれ」

「…途中で眠ってしまったんだ」


バツが悪そうにクラウドが言う。それを見て悟ったエアリスが、大きくため息をついた。


「はぁ…せっかくのチャンスを無駄にしたのね」


酔った勢いで押し倒してしまったぐらいの結果報告を待っていたのに。とエアリスはとんでもない事を付け加えた。


「…俺は悪くない」

「何言ってんの。どうせ出会ってからああだこうだって遠回しで攻めてったんでしょ!?」


…何で知ってるんだ。エスパーか。盗聴器でも仕掛けられていたのか。クラウドは咄嗟にポケットを漁って確認していた。


「もっとストレートに行かなきゃ!ただでさえシンバは鈍感なんだから!」


まったくだ。と隣にいるヴィンセントが深く頷いている。…何で俺が怒られねばならんのだ。どれだけ頑張ったと思ってるんだ。
やっぱり泣いていいか。俺だって泣いていいよな。


それから他のメンバーも加わって、クラウドの反省会は朝まで続く事となった。



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