『――…大丈夫ですか?』
『う…あ…あぁ…――』
『?』
『あ…あ……てぃふぁ…?…ティファ…?』
『!? クラウド…?』
七番街の駅のホーム。グッタリと倒れていた男性を、たまたま通りかかったティファが心配して声をかけた。…一体誰が予期していただろうか。遠い昔に離れ離れになった幼馴染と、こんなところで再会することになるなんて――。
『あぁ、その通り。俺はクラウドだ』
『本当にクラウドなのね!こんなところで会えるなんて!』
『あぁ、久しぶりだな』
ティファは幼馴染であるクラウドとの再会を心から喜んだ。大人びた彼は昔よりもグンと男らしく逞しく成長していたけれど、よく見ればあの頃の面影をしっかり感じることが出来た。
ティファは、心が懐かしさに浸っていくのを感じていた。
『でも、どうしたの?具合悪そうだけど』
『そうか?いや、そんなことない。普通だ』
『何年振りかな?』
『5年振りだ』
クラウドは考える間もなく即答してくれた。けれどもその答えを聞いたティファの懐かしさに浸っていた心が少し、…濁り始める。
『…どうした?』
『本当に久しぶりね――』
…本当は、7年振りだった。
――どうしたらいいか、わからなかった。
いつだって、そうだった。
再会した時から感じてきた、クラウドへの違和感。知らない事を知っていたり、知っている筈の事を知らなかったり。何かが違うと思った。クラウドだけど、クラウドではないような気がしてティファは止まなかった。
その頃からアバランチとして活動をしていたティファは、特に仕事もしていないというクラウドをアバランチに誘った。そのまま問いただして、クラウドがどこかへ行ってしまう事だけは避けたかった。失ってしまった故郷、両親、友人――。幼き頃の自分を覚えているものは誰もいない。そんな中で、たった一人、クラウドが生きていてくれた。
ティファにとってクラウドはかけがえのない人物で。
…だからもう、失いたくはなかったのだ。
――時間が必要だと思った。
彼をいつも近くで見ていたかった。
…でも、
こんな事になるなんて、ティファは思いもしていなかった。